「硝子の月」
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2002年02月21日(木) <始動> 瀬生曲 朔也

「『夢現の狭間にたゆたいし悪夢の主…』」
 唐突に呪文の詠唱が始まる。『誰が誰の花嫁だって?』等の問い掛けをしなかったのは、返ってくる答えがわかりきっていたからであろう。猫を抱えた青年よりは学習能力がある。

「『汝無限なるその場所より出でて我が地へと至れ……』」
「る…るーふぁ……?」
 ここにきてようやく何かを感じ取ったシオンの腕の中から、やはり面倒見のいいグレンが罪もない仔猫をひょいひょいと回収した。
「ま、精々頑張ってくれ。一人でな」
「ナニをっ!?」


紗月 護 |MAILHomePage

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