「硝子の月」
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2002年01月30日(水) <成り行き> 瀬生曲

「あの……実は僕、貴方には何の恨みもないんです。僕が賞金稼ぎで貴方が賞金首ってこともないですし」
 まだどこかおどおどした様子で少年が語り出す。
「それでその、僕が貴方に死んで欲しいのは、頼まれたからなんです」
「…………」
 ティオは少なからぬショックを受ける。旅に出るまではあの小さな村を出たこともなかった。旅に出てからも人に恨まれるようなことをした覚えは無い。自分が殺されそうになる理由など思いつかないのである。
「あの……」
 少年は黙り込んだ彼の顔を心配そうに覗き込み、
「――撃て」
 小さく呟いた。
   バシュッ!
「ッつ!!」
 光線が後ろからティオを貫いた。
「これが一つしかないなんて誰が言いました?」


紗月 護 |MAILHomePage

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