「硝子の月」
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2002年01月24日(木) <成り行き> 瀬生曲

「死んでください!」
 羽虫のような機会から三度みたびの攻撃。反らした胸の上で、白い光は外套マントの端を焼いた。
 その勢いでくるりと身を反転させ、ティオは少年の脳天に拳を振り下ろした。
「てめぇが死ね!」
   ゴン!
「っつぅぅぅぅ……」
「話を聞かせてもらおうか? 何で俺を殺そうとした?」
 うずくまる少年の襟首を乱暴に掴み上げる。
「あの、その、なんて言うかその、成り行きなんです」
 眼鏡の奥で今にも泣き出しそうな眼をして、彼はそう答えた。


紗月 護 |MAILHomePage

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