moonshine  エミ




2003年08月03日(日)  『シティ・オブ・ゴッド』 無数の銃に撃ち抜かれる

 いやー言葉を失うほどでもうなんにも書きたくないけど、
 やっぱり何か書いておこうと思って、いま。

『シティ・オブ・ゴッド』を見に行ってきた。@シネテリエ天神。
 ここで映画を見るのは約10年ぶり二度目。教室ひとつぶんくらいの小さなシアターだけど、それでもほぼ満席というのは意外だった。
 もちろん、映画が始まったら、すぐに納得いったのだけど。

“コーヒーとサッカーとカーニバルの国ブラジルからやってきたすごい映画、それが『シティ・オブ・ゴッド』だ”

サイト「週刊レビュー」の映画レビュー冒頭文。
 前売券まで買っていたくらいだから私だってそれ相応の期待はしていたが、それでもまったく、終わったあとは口をきくのもいやになるくらい、打ちのめされた。一人で行ってよかった。

 ブラジルはリオデジャネイロ郊外のスラム、通称「神の街」を舞台に繰り広げられる抗争の日々。
 それを、1960年代、70年代はじめ、70年代終わりから80年代はじめと
 大きくは三つの時代に分けて描いてるんだけど、
 その中にも、いろんなエピソードを、いろんな人物を中心に据えて入れ替わり立ちかわりで登場させ、物語は進んでいく。
 進んでは戻り、縦糸と横糸は複雑に絡まりあって、混沌としてるけど難解じゃなく、ダレもしない。すごいスピード感。
 
 麻薬、暴力、強盗、殺人、レイプ、復讐。
 いったい、何十発の銃声を聞いただろう。
 撃つのも撃たれるのも、若者。
 若者にさえ届いていない、ほんとに年端もいかない、半ズボン姿の子供だったりもする。
 
 乾いた太陽の下で輝く肌、少しの無駄な肉もない美しい体の若者たち。
 それはそれは凄惨な映画だが、圧倒的にかっこいい。
 銃もマリファナも青春の一部、生きることに少しの手抜きもない彼らに、みせられた。

 いちばんキたのは、中盤、ベネを巡るエピソード。
 ちょうど、70年代、ラブ&ピースのヒッピーの時代と重なって、音楽やファッションもかっこよくて、ベネがほんとにいい奴で、彼女もかわいくて、なのに、ああ、ほんとうに、心打たれた。
 ラスト「これって実話なんだ!!」というのがわかる仕掛けも、慄然としたなあ。
 今すぐ、もう一度みたいくらいだ。
 最初から最後まで、もう一度じっくりと。

 なまっちょろいとこは、ひとっつもなし。
 クールって、スタイリッシュって、このこと。という映画だった。
 もうびっくり。
 でも、社会派ってわけでもないんだよなあ。
 やっぱり、たぶん娯楽。そして青春。
 ポップさえ感じた。

 と、いうことで
■今日の本
 「シティ・オブ・ゴッド」パンフレット
 映画のパンフレットを買うなんて、もしかして、初めてかもしれない。
 帰りの電車で読んでる間も、まだ呼吸がちょっとおかしい感じだった。
 そうだよ、あたしも、銃で撃たれたんだよ。

 そういえば昨日、今日の一冊を書き忘れてたので、先ほど追加で書いておきました。





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