| moonshine エミ |
| 2003年03月11日(火) ある明け方 | ||||
| 神社の階段みたいなのを上っていったところに、何か建物がある。 その横に、柵で囲われた庭がある。雑種みたいだけど真っ白な犬が、何十匹もひしめきあっている。 立っているところから少し距離はあるはずなのに、夢の中にいる私には、はっきりとズームで見えるんだ。 誰かがどこかでマッチを擦る。 オレンジの火がついて、ゆら、と揺れる。 突如、風が強くなって、ぐら、と真横に炎が揺らめく。 柵の中に火が見える。 またたくまに広がっていく。 犬たちが怯えて激しく動き出す、でも柵からは逃げられない。思うように身動きも取れない。 犬たちは吠える、「わあん、わあん」と、泣くように悲しく。あきらめたように泣いている。燃えさかる炎の音。 赤に包まれて、みるみるうちに真っ白だった体がオセロの駒を返すように簡単に、いちめん黒焦げになっていく。一匹残らず。 なすすべもなく、私はそれを見ている。 あっという間にあたりは静かになった。 ぱっと画面が変わって、でも悪夢からは逃れていない。 どうしてだか、私は壁を上っている。その上にある自分の黒いブーツを取りに行こうとしている。 広い壁には一面に、ひきちぎられて散り散りになった犬の手足や、もうどこの部分だか分からないものが貼りついている。 さっき黒焦げになったはずなのに、その四肢たちは、なぜだか真っ白だ。 私は一生懸命に、バラバラになった犬の手足を手で払って足場をつくりながら、上へ上へとのぼっていっている。それには、重さがない。匂いもない。ただ、真っ白な毛でおおわれた手や足が、払っても払ってもまだそこいらじゅうに、しきつめたようにいくらでもあるのだ。 こんな夢で目が覚めた。 最悪。 夢だと分かっても、しばらくベッドの中で体を動かすことができなかった。あんまりにも怖くって。 私はすごく怖がりだ。 映画やテレビ番組も、ちょっとでも怖そうなものは、絶対に目に入らないようにする。友だちの間で怪談が始まりそうになったら、慌てて止める。しんちゃんが怖い映画を見たそうにしていても、絶対に拒む。本気で怒りながら。「リング」も「らせん」も「シックス・センス」ももってのほか。「世にも奇妙な物語」だって絶対見ない。(何度か、うっかり見てしまって、寝る前にほんとに後悔した。) 最近は前より幾分マシになってきて、必要に応じて(?)怖い本も読むけど、『クサいものには蓋をしろ』ならぬ、『怖いものには蓋をしろ』の人なのだ。だって、ホラー映画とかさ、別に好きでもないのに、無理に見る必要なんてないやん。「見てみたら、おもしろいのに〜」なんて言う人、じゃあ私が薦めるコテコテの時代劇を、あえて忙しい日常の中で時間をとって見るか?って話よ。 なのにさ、なんで、こうやって時々、「いったいどうしてそこまでディテールが細かいの!」と言うような怖い夢を見ちゃうの?! 実は、先週もかなり怖い夢を見た。 私が『大人なら、オチもないのに人前でむやみやたらと、長々とするべきでない』と思ってる話題のうちの一つに「自分が見た夢の話」というのがあるんだけど、その日は思わず同僚に夢の話をしてしまった。 ものっすご、寝覚めが悪いままで家を出て駅まで歩く道で、車にはねられてしまった黒猫の死体まで間近に見てしまったので、もう話さずにはおれんかった。 今日も、あんまりにも克明に覚えていたので人に話したい衝動に駆られたけど、あの怖さを話して伝えることは不可能っぽいし、人に話すと夢って大したことないし、大したことないにしても、聞いて面白い話でもないので控えました。 でも、ここに書いてます。ゴメンナサイ。 ぶるるるるる。 怖かった。 今日は仕事もきつくて、人の冷たさがしみじみと感じられ、 「もういやだー」と愚痴ってしまいましたとさ。 「取引監査、すかん! 明日、会社行きたくない」とか。同じチームじゃない先輩に。 明日は残業しないぞ。 |
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