BSフジで「鬼平犯科帳」第4シーズンを放送している。 くそう、第1シリーズから観たかった……と思いつつ、気付いた時から録画してちまちまと観ている。 主人は常人は見向きもせぬような現代曲が好きな割りに、オープニングのカシャーン(何かの打楽器)、ゴヨ〜ン(多分銅鑼)、パプーピー(喇叭か何か)という不協和音が嫌だとか抜かすので、私は1人で観ている。 しかしそろそろDVDレコーダーの中身が一杯になりそうなので、さっさと消化すべく、今日は夕食後に主人がPCに向かっている時に再生した。 いきなり拷問シーンで、鬼平が言った。
「竹釘を持って参れ。それに百目蝋燭だ。(中略)
その釘を奴の爪の間に打ち込め。 打ち込んだらそこへ蝋を流し込め」
「勘弁して勘弁して勘弁して」 音を上げたのは賊ではなく、PC前の主人であった。 慌ててリモコンに飛び付いて、停止ボタンを押す私。 「ご、ごめん……やっぱり貴方のいない時に観るわ」 「だから、爪は駄目なんだよう……」 と涙ぐむ四十路のおっさん。
うちの主人の弱点、それは爪である。 爪が弱くて、一寸引っ掛けただけで痛い目に遭うので、爪の話が兎に角駄目らしい。 初めてそれを本人から聞いた時、 「そうなの? それじゃあ昔の人じゃなくて良かったよね。昔は爪の間に釘を打って拷問したんですって。一発で吐いちゃうね!」 と私が言った途端に、奴はヤメテとふるふるし出したので、嗚呼ホントに駄目なのねと判った次第であった。 それ以来、仮令私が爪の間に何かを挟んでしまって痛い思いをしても、主人には言えずにじっと我慢をするなど、私からは爪の話はなるべく言わないようにしているのだが、TVや映画で突然そういう場面が出て来るのはどうにもならない。 前述の「鬼平」は、拷問シーンに「竹釘」というキーワードで予想は出来たが、映画「リング」や「ミラーズ」は唐突に爪の剥がれるシーンが出て来て、心の準備が全く出来ていなかった主人はギャーと叫び、うううと唸りながら静かになったかと思うと、
目に涙を一杯に溜めていた。
……恐怖映画でマジ泣きする50近くのおっさん、普通の人は引くだろうが、そこは腐っても奥さん。 ああヨシヨシ怖かったねえ、とえぐえぐする主人を抱き寄せて頭をなでなでしておいた。 心の中では、その様子に大笑いしながら。 因みに「ミラーズ」は、怖い事は怖いが、核心に迫るにつれて「だから何?」感が増す映画だった。話の作りは微妙だという訳である。 しかし音楽は良かった。オープニングはこちら。
原曲はアルベニス作曲「スペイン組曲」より「アストリアス」。 元はピアノ曲だが、このアレンジはなかなか良いと思う。 PCで聴くとそうでもないが、映画の中では迫力があって、とても格好良かった。 映画は余りオススメではないが、音楽はオススメ(笑)。
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