田舎の老人は、マイルールで生きている。 どこの田舎でもジジババはそんなものだろうと思っていたが、この土地のジジババは悪質な気がして来た。
我が家の駐車スペースには、大家によってちゃんと記名がされている。 最初はプライバシー丸出しな感じで嫌だなあと思ったが、1階テナントの来客用駐車場の中にあるため、今ではテナントが混んでいても自分のスペースが確保出来るのは良い事だと思っている。 そんなある日、テナント激混みの時に帰宅してみたら、我が家のスペースに既に車が入っているではないか。 赤い車だったり白い車だったり、これまでも数回そういう事はあったのだが、まあ判らなかったのかもなと奥のスペースに一旦置いて、うちの場所が空いてから停め直していたのだ。 1度、主人が無断駐車の車の持ち主と鉢合わせて、 「ここ、うちのなんで停めないで下さいね」 と注意した事があったらしいが、そのババアは謝りもせず、 「あらー、知らなかったもんでねえ」 と言っていたそうで、主人は呆れていた。 しかしその日は他にスペースが無かった。 主人と一緒だったので、彼にはそのまま運転席で待機して貰い、私がテナントに苦情を言いに行った。 「車の移動をお願いします。白のカローラ(仮)、ナンバーは……」 と言っていたら、後ろで 「あ、私のです」 と言ったジジイがいた。 店の人と苦笑いして、じゃあ宜しくとジジイに言うと、 「いやあ、他に停める所が無かったもんで……ここの駐車場、数が少ないからねえ」
知ってて停めたのかよ! しかも誰も理由なんて訊いていないのに、駐車場が狭いってテナントのせいにしてるし。 いつもの私だったら動脈硬化の進んだ老人の血管並みにプチンと切れて、 「へーえ、そのせいでうちが本来の場所に車を停められずに困っても構わないとでも言うんですかね」 と一言ぐらい言い返しただろうが、その時はギャラリーも多かったし、上にクレーマーが住んでいるとテナントの人に思われるのも困るので(主人は何度かこちらにお世話になっているのだ)、私にしては珍しく黙っていた。 家に入ってから、全くこの辺りの老人と来たら……と主人と話して、そういや赤い車のババアと同じく、今回の白い車のジジイも謝ってなかったなーと思い返した次第であった。 謝罪が無かった事に気が付かないぐらい、驚き呆れてしまった事だよ。
別のある日には、スーパーで、カートを駐車場にそのまま置き去りにして車に乗り込もうとするババアに遭遇した。 この辺りは、こういう年寄りが実に多いのだ。 「ここに置くと他の人の邪魔になりますよ。車にぶつかって傷付ける可能性もあって危険ですから、指定場所に返して下さいね」 と言って私がカートを手にすると、ババアが慌てて手を出して来た。 「いえいえ、私がやりますから」 「いいですよ、別に。これから店に行くんで序に持って行きますよ」 と私が言っても、頑として聞かず。 無駄の多いババアだな……と思って、ああそうですかハイと手を離すと、ババアはちゃんと指定場所までカートを戻していた。 「いつもならちゃんと戻すんですがねえ、今日は急いでいたもんで」
また言い訳キタ━━━!!
だから誰も訊いてねえっつーの! 急いでいるって、10mも離れていないのに、どんだけ急いでいるんだよ。 その割りに言い訳がましい事言う時間はあるのな(笑)。 なんかもうこんな事ばかり続くと、こんなクソ田舎さっさと沈没してしまえという気になって来た。
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