天上天下唯我独尊

2011年01月19日(水) 10年目の真実

そろそろ区切りの年になる。
「という訳で、結婚10周年記念行事しようよ!」
と提案したが、主人の反応はいまいちであった。
「何、その『記念行事』って……」
「記念行事は記念行事よ。北朝鮮だってやってるじゃん、金正日の誕生日なんかにさ。だからうちでもやらない?」
私が胸を張ってそう言ったのに、主人の反応は変わらなかった。
「何故北朝鮮の真似事を……まあいいけれど。で、何をするのさ」
「例えば10年目の新婚旅行とか、スイート10ダイヤモンドでもいいよ☆」
と私が誘導するも、あーハイハイ考えとこうね、という態度であった。

そんな話をした数日後、晩御飯のメニューで揉めた。
鶏鍋にしよう、というところまでは良かったが、何味にするかでまず揉めた。
水炊きにしてゆずポン!という主人に対し、比内地鶏のたれを使った醤油味がいいと主張する私。
で、いつものように主人が折れてくれた訳だが、
「その代わり、茸いっぱい入れてね」
と言うので、
「勿論。しめじと榎茸でいいよね」
と返事をすると、
「嫌だ。しめじと舞茸と椎茸がいい」
と主人が主張した。
おや、珍しいと思ったら、なんと
「えのきキライ」
と言うではないか。
「そうなの!? 全然知らなかったよー、噯気にも出さないんだもん。えのき美味しいのに。私は好きなんだけれど」
と私が驚くと、主人はぼそりと呟いた。
「前にも言ったよ……味も匂いも嫌いだって。なのにシオンがスルーするから。今みたいに『でも私は好き』って、冷蔵庫の中に残っているから悪くなる前に使わなきゃって、いつも俺が料理して、嫌いなのに味噌汁に入れて消費させられて……」
何、今更その恨み節。
「悪かったわよ。特に好き嫌い無いって聞いていたからさ。じゃあもう二度と食卓に出さない。それでいいんでしょ」
「いや、食べられない訳じゃないし、嫌いだけれどどうしても駄目ってほどじゃないから」
「ほら、そう言うから私も覚えていなかったのよ。嫌いというより苦手なんでしょ」
「ううん、食べられるけれど嫌い」
あーもうめんどくせーな!

えのき美味しいのにな……油揚げとえのきと若布の味噌汁なんて、最高なのに。
と私がぶつぶつ言っていると、
「まあ食べられない訳じゃないから……」
どっちなのさー!


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