
おとなの隠れ家/日記
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| 2004年09月09日(木) ■ |
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| 見えないんじゃなくて見ていないんだろう? その1 |
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18号の台風情報をみるために、テレビをつけっぱなしにしていた夜 うっかり、とある番組にぶつかった。
NHKスペシャル 21世紀 日本の課題「子どもが見えない」(再放送)
まずいものにぶつかったなというのが、その時の正直な気持ちだ。 子どもの話になると、はまるからなぁ。
ため息をひとつついて、ちょっと考えて、みてみることにした。
冒頭で、佐世保で起こった少女殺害事件の話がふられる。 心拍音が大きくなるのが自分でもわかった。
『こどもによる衝撃的な犯罪が相次いで起きています。そして大人たちの間には「子どもの姿が見えない」「子どもの心が分からない」といった不安が広がっています。一体、子どもたちはどんな世界に生き、何を考えているのか。番組では、その現状を探り、大人は子どもにどのように向き合っていけばよいのか考えます。』
*NHKホームページより引用
NHKでは二ヵ月ほど前からインターネット上でこどもに呼びかけをおこない こどもの声を聞こうと公開掲示板を設置したそうだ。 掲示板の書き込み、直接こどもたちにも取材をしたものをもとに番組は作られていた。
大きく分けて4つのテーマがあった。
インターネットについて 友だち関係について 心の中で思っていること なぜ人を殺す、殺したいと思うか?
見終わって、ひどく疲れた。 こどもの叫びが、あまりにも追い詰められた状態を表していたから。 特設掲示板も覗いてみた。 こどもたちの気持ちが書いてあった。 どうして? こどもたちの書いていることがわからないというのではなくて どうしてそこまで追い込まれることになったんだろうと。
この番組をみて、わたしなりに考えたことを書くことにする。
インターネットについては、先の佐世保の事件が掲示板やHPでのトラブルが報道されたことにより、 インターネットはこどもによくないと思うおとなもいくらかいるようだが、 わたし的には、インターネットで遊ぶことに問題があるわけじゃないだろうと思っている。
前にも書いたが、 何か問題が起きたら、それを禁止する、取り上げる そういうおとなのやり方が、わたしは大嫌いだ。
もしも、本当にインターネットがこどもにふさわしくないと思うなら パソコンや携帯電話を買い与えたのは誰だ?といいたくなる。 小学生のころからパソコンに触れさせようという教育が率先して行われているのも事実だ。
道具であるパソコンや携帯電話におとなが八つ当たりする前に、 見なくちゃいけない側面があるように思えてならないんだよね。
番組では、家にいるときにはずっとパソコンをやっているというふたりの少女(中学生)を取材していた。
彼女には夢がある。 音楽をやりたいらしい。 親は夢の話をきいてくれない、勉強してろ、と。 音楽で食べていけるのか?そう突っ込まれると返す言葉がみつからないと、少女はいっていた。 現在彼女は自分のホームページを持ち、チャットや掲示板でネットの世界と繋がっている。 インターネットの世界にしか、自分の話をきいてくれる人はいないといっている。
もう一人の少女は、3つのキャラクターを作り上げ その時の気分でそれぞれのキャラクターを使い分け自分を表現しているらしい。
キャラのひとりはとても攻撃的で、誰かをとことん追い込むほどのきつい言葉を吐く。 まるで喧嘩を売っているような。 このキャラは、母親にひどい言葉をいわれ、それがもとで出現したらしい。 できのいい他の兄弟とくらべられ、親からせめられ、自分でも自分をせめた。 自分はダメな人間だと思い込んでいる。
彼女の心の中には、いろんな気持ちが存在していて、 それを現実で吐くわけにはいかないからネットを利用し 普段いえないことをいってストレスを発散させるらしい。
ふたりの少女がいうには、本当の自分を出せるところはネット上しかないと。 ネットなら相手が誰だかわからないし、顔もみえないから、いいたいことがいえる、と。
音楽をやりたいと思っている少女は、自分のHPを改ざんされるなどの荒らしにあった。 調べてみると、クラスメイトだった。 少女は、その荒らしと思われるクラスメイトを問いただすこともなく 今までと変わらず表面上は友だちとして接しているらしい。
誰がやったかわからないときには殺してやりたいほど憎いと思ったようだが クラスメイトなら、騒げば騒いだで学校で面倒なことになると判断したそうだ。
なぜ問いたださないかという質問に、友だちって所詮そんなもんだろうと流したという。
そんなもんじゃないさ、すくなくともわたしはそう思う。 ただ、この少女が、誰がやっているのかわかっているのに、それを正そうとしないことは 結果的には、さらに彼女のストレスを増やしているような気がする。 本当は、そんなもんだろうと流せないんじゃないかってね。
学校での付き合いはその程度だと、顔を合わせているときはにこやかでも 知らないところで陰口をたたくものだと、そういう風にしか考えられなくなったのがなぜか。
そこに生まれるはずの怒りや悲しみを押し殺してまで、波風をたてないでおこうとする姿が さめているようでもあり、つらそうでもあり。 これって、おとなの世界にありがちな姿だと思わない?
キャラクターを使い分けている少女もまた、本音をいうということに過敏になっていた。
もしわかってもらえなかったら もしいじめられたら もし嫌われたら
そういうことを考えると、友だちの前で本音が言えないらしい。 彼女がぽつりとこぼしたのは、風邪ひいたといっても親も友だちも心配してくれないが ネットなら誰かが大丈夫?と声をかけてくれる、それが嬉しかったりもすると。
確かにネット上で、体調が悪いといえば誰かが大丈夫?と声をかけてくれる。 台風がきたといえば、心配してくれる。 わたしも嬉しい。 でも、わたしにはリアルにもそういう付き合いはある。 彼女には、ない。
この少女たちはリアルな世界にないものをネットに求めているといえる。 それは、ネットの世界に逃げているというよりは リアルな世界に本来ならあるべきものがなくて、さまよって、ネットにたどりついたと わたしには、そう見える。
ネットの世界じゃなきゃいけないんじゃない。 ネットの世界がいいわるいの問題じゃなくて 今のところ、少女たちをささえてくれているのがネットの世界なんだろうと思う。 そこから目をそらし、インターネットはこどもにはよくないという点ばかりを見てしまうと こどもが置かれている苦しい状況を見過ごしてしまうんではないだろうか。
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