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おとなの隠れ家/日記
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2003年12月25日(木)
ユキのクリスマス




今年は ひとりぼっちのクリスマスになるのかな
そう思っていたら ケイスケからクリスマスディナーのお誘い

合コンで知り合ったケイスケとは妙に話が合って
その日に電話番号を交換したっけ
たまに電話が かかってきたり
笑えるメールが飛んできたりで

数回 飲みにいった
ケイスケといると 学生気分のノリで楽しめる

クリスマスを ひとりで過ごすよりは
ケイスケと ぱーっと騒ぐのもいいかなと
彼からの お誘いにOKを出したんだ



実はね 私には気になる人がいて

会社の先輩で
バリバリの営業マン
彼に憧れる人は 社内にも沢山いて
でも彼は仕事一筋という感じで
浮いた話は ちっともなくて 硬派で通ってる
そこがまた 魅力的なんだろう

いつだったか 会社のエレベーターに慌てて飛び乗ったら
そこに先輩が ひとりで乗っていて
走り込む私を見て くすっと笑い

「何階ですか?」

と聞いてきた
エレベーターに乗った途端にドアが閉まり
突然 狭い空間で二人っきりになったものだから
私 すごく緊張してしまって 何も言えなくて
すると彼が にっこり笑って

「大丈夫?」

と声を掛けてくれて
私は自分の降りる階を伝え 彼の後ろで小さくなってた

それからというもの 彼は
社内ですれ違ったり 
社員食堂でばったり出会ったりすると
笑顔を送ってくれるようになった

彼の笑顔は とびっきり素敵で
私は それだけで嬉しかった
高学歴と抜群の営業成績を持つ彼は 私からすれば高嶺の花
なによりも 美人でもなく可愛いとは言えない私では 
とうてい お声が掛かるはずもないだろうし


クリスマス当日
仕事が終わって 
ケイスケとの約束の時間までには1時間ほどあったので
街をぶらぶらしていたら 面白そうなお店が目に止まった
店内に入ってみると 星空をモチーフにしたグッズが揃ってた

薄暗くしてある天井に 星がキラキラ映し出されるライト
クリスタルグラスで作ってある サンタとトナカイの小さな置物
電気を消すと ぼんやり浮かびあがる蛍光色のクリスマスツリー

「クリスマスだから 何か買っていくか」

数回 食事をごちそうになっているケイスケに
気軽に もらってもらえそうな小物をプレゼントしようと思った

店の奥の方に歩いて ふと天井を見ると
星の形をしたシールが青白く浮かび上がっていた
心の中で きれいだなとつぶやいている私の横で

「うん きれいだよね これ買っていく?」

と どこかで聞き覚えのある男性の声に 私は首を右に向けた。

「えっ? 先輩?」

私から30センチも間隔をあけずに 先輩が立っていたのだ
私は びっくりして そのまま先輩の横顔を見ながらも
声を掛けられずにいた
すると先輩の向こう側から女性の声がした

「そうね 今夜は この星を眺めながら乾杯する?」

先輩が女性を連れていることに気付いた私は
見てはいけないようなものを見てしまった気がして
その場を立ち去ろうと動いた途端 
私のバッグが先輩の左腕に軽く当たり
先輩が ふっと わたしの方を見た

「やぁ」

いつもと変わらない 私が大好きな先輩の笑顔
その影から女性の姿が私の目に飛び込んで来た
先輩は女性の方を向き直し 
私を同じ会社の人だよと説明していた
その女性は ぺこりと私に頭を下げた
私も 同じく頭を下げた

「彼氏へのプレゼントかな?」

そう尋ねる先輩に

「あっ はい」

私は それだけ言って 失礼しますと頭を下げ
逃げるように店を出て 気が付いたら
自分のアパートへ帰る電車の中だった

「そうだよな 彼女いて当たり前だよな」

早く自分の部屋に戻りたかった
ひとりになりたかった


アパートの鍵を開け中に入りロックを掛ける
電気も点けずに まっすぐにソファに行き座り込んだ


暗がりの中で バッグからメロディーが聞こえてきた
携帯電話にメールが着信しているようだった
誰とも かかわりたくなかった 

誰とも.......そう考えていて 思い出した

「あっ ケイスケ」

腕時計を見た
すでに約束の時間から30分ほど過ぎていた

悪いと思った
電話しようかとも思った
でも断りの理由が思い付かなかった
しばらく考えて メールを打った

「メリークリスマス♪ ゴメンネ  ユキ」

そして携帯電話の電源を切った


頭の中は先輩のことで一杯だった
そして自分の気持ちが はっきりと わかった

本当は 高嶺の花なんて言いながら
いつかデートできたらいいなって

けれど
さっきの女性の方が 私なんかより 
先輩には うんとお似合いで


涙は出なかった
でも しばらくはソファから動けなかった


私の想いは消してしまおう
消してしまおう
消さなきゃ


「とんでもないクリスマスになったな」


大きく溜め息をひとつ ついたあと
私は ソファから立ち上がった

ハートはチクリと痛いけれど
先輩を好きになった自分はイヤじゃない

「乾杯でもするか クリスマスだし」


何に乾杯するかって?
先輩と出会えたことに乾杯するんだよ
届かなくたっていいんだ
好きなものは好き