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"RENEW!"
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| 2004年11月13日(土) |
セブンスターの香りが足りない. |
ああこの場所を一生忘れやしない。 いや忘れる事ができない。 高架線の下に出る、 ある地下鉄駅の出口5番の風景。 目の前には行き来する車が通り過ぎていき その向こうには小さな会館が静かに建っている。
そこに眠るように大事な人が横たわっていた。 その時横たわっていた「事実」を 「事実」と受け止めてなかった。 今でも「事実」と受け止めてないから こんな悲しくて寂しくて どうしようもなくなるのだろうか。 涙をどうやっても流す事ができなかった。
あの時あの場所で 独りで眺めながら あの人の好きなセブンスターを味わう事が出来たならば 私はもっと精神的に楽になれたかな。
おととい電話があった、実家からで 「Mちゃんのお父さんが亡くなったのよ。 お手伝いでいかなくっちゃならないから、 あんた家族代表ででてくれない?」 母の言葉は最もだったから一つ返事で応えた。 「場所はね、Y会館だから」
Y会館、、、か。 父が亡くなり葬儀屋さんの車で そのまま運んでもらい安置室に寝かせて頂いた。 冬の時期はどうやら亡くなる方も多いらしく へんな言い方だが混雑期になるようだった。 そして焼却の順番待ちされて 寝かされてしまう父がとても可哀相だった。
やっと日程が決まったと言う事で お通夜、お葬式をして斎場へ行った。 長い長い時間だった。 なのに何かを忘れてしまっていた、 思い出すことが出来ない、 大事なものを一緒に持たせるもの。 焼却する棺の中に。
お花や好きだった画集 手紙、家族の写真など入れた覚えはある。 そして係りの人によって 私達家族は最後の挨拶をして父と別れた。
その儀式の間、時間があるので みんなでお茶を飲んだ。 最後の挨拶のとき 母や妹はあんなに泣いていたのに 私は涙一つもこぼせなかった。 今日もこぼせなかった。
出席した親族への挨拶もそこそこに外に出てみた。 どれが父の煙か分からなかった。 ああふと思ったのだ。 病気完治を信じていた彼は医者の一言で 暫くセブンスター吸わなかった。 そうだ、セブンスターの香りがあれば 父だと分かったのに。 棺にも誰一人入れなかった。
気がつかなかった、 それが無性に悲しくなって 私の目から一粒ほろりと地面に零れ落ちた。
目の前には行き来する車が 何事もなく通り過ぎていき その向こうには小さな会館が静かに建っている。 自動販売機が近くにあるかな。 彼女のお父さんもセブンスター好きだった。 慌てて周りを見回したが自動販売機が見つからず お通夜に大分遅れるのを覚悟して 自動販売機を探しに出掛けた。
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