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題名に、「日記と言うよりメモ」の言葉が含まれた場合は、 母の様子や入院等についての内容が書かれています。 ここに、ガンのコトが少し書いてあります。


2002年08月16日(金) 日記と言うより記録(7/31−3)

その変わったご婦人は、火葬場から一向に立ち去る様子がなかった。
やがてアナウンスが入った。

母の元にゆっくり皆が移動する。
父に耳打する。
さっきさ、叔母ちゃんに聞いたけど、下請けが来てて私は親友なのに
行けないなんておかしいって言ってたってよ?

下請けと言ったのはガン患者のご夫婦のことで、確かに父の会社の
仕事も受けているが下請けではない。ガンにかかっている奥さんが
自分のコトを卑下してそう言っただけで、下請けではないコトと
母と同じ病気にかかっているコトは周知の事実だ。

下請けだけど親類だから、今回は親類だけとなっていますって
お前が言って来い。
えぇーまた嫌われちゃうじゃん。
俺が言ったら決定になるだろう。そうはいかんだろう。
まぁそーだけど。判った。じゃ言ってくる。

変わったご婦人の前に立ち
今回こちらは親戚だけでお願いしていますので。
え、でも。
私は遮って話を続けた。あちらの下請けとおっしゃった方は、
遠縁にあたりますので私共でお願いしましたので。
・・・。判りました。
すみません。

変わったご婦人の前から離れた。

母と対面した時、本当にこれが母か?と思った。
面影がないのは当然だけど。
父方の親戚、母方の親戚、ガン患者のご夫婦、若干の父の会社の方。
そして私達だったはずなのに。
彼女がいる。変わったご婦人。

言ったのに。
どうする?
もうどうにもできない。

最後にお骨を拾う番になったが、相手がいないため一人だった。

彼女は待合室で叔母と話していた。

母の前で彼女は叔母にこう言ったそうだ。

お姉さん、私は先生の親友なんです。下請けが骨を拾って
親友の私が拾えないなんておかしいじゃないですか。
お姉さん一緒にお願いします。

叔母がこっちを見てものすごく困った顔をした。
私はそれを見ていた。
何もできなかった。
叔母の判断に任せようと思った。母のお姉さんだから、私より
きっと母に近い考えを持っているだろう、そう思った。
断れないな。そう思ってみていた。
叔母がその変わったご婦人とお骨を拾った。
叔母は私達に背を向けたまま、握っていたハンカチを後ろ手に
パッパッと振った。
断れなかったの、仕方ないよね。そう聞こえた気がした。

後で、叔母が私のそばに来て謝ってきた。
ごめんね、あんなことあんなトコで言うんだもん。断れなかったの、
助けてってZちゃんを見たけど来れなかったよね。
うん、いいよあれで。断れないよ、そんなコト言われたら。
後でY子(母)の悪口とか言いふらされてもイヤだったから。
うん、判ってるよ。ごめんねイヤな役やらせて。
ううん。ごめんね。

火葬場から戻って来る時、行きと同様ガン患者の奥さんと同車だった。
行きよりひどく落ち込んでいた。

どうかしたの?
あの親友の方から聞いたんだけど、お母さんお正月の訪問を嫌がってたの?
・・・。ううん、お客さんが来てくれるのは好きだし、にぎやかなのが好きなの知ってるでしょ?
・・・。
でもホラお父さんがあーだから、人数も時間もちゃんと教えてくれなくてね。
・・・。
お母さんはちゃんと人数分用意したいって思ってるし、お料理冷めない様にとか
あるでしょ?だからそれに対しては文句言ってたよ。
そうなのかしらねぇ・・・。
そうよ、だって判るでしょ?お父さんがお酒飲んだとき・・・。
そうね、あれはね・・・。
だから気にしないで?ね?
でも親友にイヤだイヤだ言うくらいだから・・・。
あのね?お母さんの性格判るよね?分け隔てないでしょ。あの人が親友だったら皆親友よ。私達だってあの人が親友なんて今日知ったもん。
そうなの?
そうよ。
でもお正月のコトは負担ったんだね。
そりゃゼロじゃなかったと思うよ。10人分以上の食事やお酒の仕度するんだもん。でも嫌いじゃなかったよ、後片付け以外はね?(笑)
でも「言ってました言ってました。先生、お正月のお客さんが来るのがイヤだイヤだって言ってました」って言われたから。
ううん気にしないで、ちょっとあの人変わってる人なのよ、ホントに。
そっかぁ・・・。

車内の話はそれだけじゃなかった。


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