闇の底に...Cuckoo

 

 

愛を示した人のコト - 2003年12月13日(土)

人は死に直面した時
何を思うんだろう
先に消えるのが幸せか
見取るのが幸せか
そんな事分かる人は居ない


てるおじさんとひさこおばちゃんは
いつも一緒だった
子どもの居ない夫婦には
目に見える絆が無い
きっとひさこおばちゃんは悩んだだろう
淋しかっただろう
けど
子どもしか繋がりの無い夫婦には無い
濃い信頼関係があったんだと思う。

月曜日
大阪にお見舞いに行った
おじさんの調子が悪い
そうきいて慌ててお母さんとおじいちゃんと
新幹線で1時間かけて行った
大きな声で笑うおじさんが
小さく見えた
意識ははっきりしていた
アタシがおじさんの手を握り
遊びに来たよ
そう言うと
吐き気と痛みで目を瞑っていたおじさんが
一瞬目を開けてアタシを見て
手を握り返した
その力はまだ衰えていないように思えた

ガンの再発
もう末期だった
早くて1ヶ月
もって3ヶ月
そう宣告されていたらしい
おじさんには告げていない。
自宅介護を取ったおばさんは
子どもも居なく 一人でてるおじさんを見ていく
それはすごく勇気がいるだろう
点滴の機械の使い方を覚えて
訪問看護の先生の話を聞いて
一晩中苦しむおじさんの傍で付き添う
ひさこおばちゃんには
てるおじさんしか居ないのだ。

てるおじさんの家にある
掘りごたつに入った
何年ぶりかに行ったその家は
昔より小さく感じた

おばちゃんは
ため息混じりに言ったの
『看護婦さんには言うんだけど あたしには何も言わないのよ』

気持ちが悪いためにうがいをしたがる
その水が冷たくて辛い
それをひさこおばちゃんには言わないの
看護婦さんにそう言う
寝たきりだから背中が痛い
それもおばちゃんには言わない
てるおじさんは
どんなに自分が辛くてもひさこおばちゃんに心配かけたくなかった
迷惑かけたくなかった
それをわかっているから
だからこそ辛い
そうおばちゃんは言った

どこに行くのも一緒
何をするのも一緒
おじさんは1年位前から
パソコンにはまっていた
77歳にしてパソコンを覚えるのってすごい
家にはデジカメで撮った写真が
綺麗にスクラップされて置いてあった
几帳面な性格が見て取れた
それを嬉しそうに見せるおばちゃん
一緒に出かけた先の写真
ほんの3ヶ月前の写真だった。


おじさんは
筆談で話してきた
『お兄さん(おじいちゃん) 佳子(母) 水鳥。
 ありがとう
 ひさこの事を頼む』

ひさこおばちゃんは
笑って
『優しい事言うわね』
そう言いながら
隣の部屋に行き
ハンガーにかけてある服をはずし
また同じハンガーにかける動作を
数回繰り返した

人は死に直面した時
自分の事を考えると思っていた
けどアタシの目の前には
何十年も一緒に居ても
変わる事の無い
愛の形を見た

てるおじさんの愛情を
ひさこおばちゃんは受け取っただろう



今日 大阪に行く
明日アタシは
大好きだったおじさんに
最後のあいさつをする事になる



             水鳥。


...




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