闇の底に...Cuckoo

 

 

時間と距離を作る旅行 3 - 2002年08月18日(日)

遠くアナタはどこにいるだろう
何を見ているだろう
目に映るものは
誰だろう
あの日の記憶は
もう忘れてしまった?


なんだか一日時間をおいてしまった
眠れない日々が続き
朝目が覚めると腫れている
体にまとわりつくような
暑苦しい熱気が
憂鬱さを連れてくる
あの人の匂いが恋しい。


14日

朝目が覚めた
相変らず早起きだった
さっき寝たばっかりなのに
そう思いながら彼の顔を見る
寝相が悪いくせに彼の腕で寝るときは
ちゃんと寝たときと同じ体制なのが不思議だ。
いつもこんなに寝相がいいといいのに。

彼の匂いが好き
今まで気がつかなかったんだけど
脇の下に顔を突っ込んで又寝る
変だろうか
『性欲よりも睡眠欲』
そういつも言う割にすぐ彼は目を覚ます
くっついては離れて
そんな幸せな朝を迎えた
だけど別れは目の前だ。

洗濯機があるホテルだった
彼の服を洗濯してアタシは歯を磨く
彼に甘えてみたものの
やっぱり眠いようだ

急に電話がなり
頼んでおいた朝食が届いた
アタシは朝から物が食べれないタイプだ
食事もそこそこにお風呂に入る
朝から露天風呂だった。

プカーと沢山のお湯の中で浮きながら考えた
ココを出たらもう帰らなきゃいけないんだって。

いつもなんだ
毎回
彼と抱き合ったらすぐに帰らなきゃいけない

アタシはこう思ってた
ふたりで抱き合った後どこかに行きたい
そしたら街を歩くあたし達に距離がなくなるかもしれない
遠慮とか他人とかそんな雰囲気の距離が。
今回アタシはそれを願ってた
目が覚めて
二人で用意をして
それから出かけるんだ

そんなアタシの願いは
あっさり砕かれた
彼は昼には帰ると言っていた
このまま駅に送っていくって事だ。

時間が来て用意をすませ
部屋を出る
彼が言った
『ココおやじの病院』
なんだか嬉しかった
教えてもらえた事が。
そして
元彼女は会ったんだもんな
そんな事を考えた。

駅に着く
電車がくるまで30分
アタシは言った
『30分あるし 帰ってもいいよ』
馬鹿なことを言った
だって彼は
『うん』
そう言って
帰ってしまったのだから。

彼を見送ってそのまま立ち尽くす

水鳥は9日が誕生日だった
彼からのお祝いを期待するほうが馬鹿だった
哀しかった
ひとりぼっちで駅で
ただ淋しかった。

誕生日だから祝え
それはわがままだと後で彼に言われた
だけどね
好きな人に誕生日にお祝いをしてもらいたい
そう思って何がいけないだろう



駅で一人
改札口を早めにくぐる
待つ時間が長ければ長いほど
涙がこぼれそうになる
アタシは彼にメールした
【ほんとうに帰るなんて】
彼はレスをした
【帰っていいって言われたら帰っちゃうんです】
アタシは彼をしらなすぎるのだろうか
同じ文面のメールが二通届いた
きっと届いてないと思ったのだろう
アタシには追い討ちにしかならなかった
【二回も言わないで 泣きそうじゃん】
しばらくして彼からこうメールがきた
【とりあえずそこで待ってなさい】
その言葉を受け取った瞬間電車がホームに入ってくる
【電車来たし いいよ】
電車に乗り込む
後一回
もう一回メールが来たら待とう
改札口はくぐっちゃったけど。
【待ってなさい】

彼のメールでドアが閉まる瞬間に電車から降りる
ホームの端っこのベンチで座り込んで
線路を見つめながら涙が流れた

ふと視界の端に小さなものが動いた
リスだ
こんな都会の新幹線の線路の上に
信じられなかった
今でも信じられないけれど。
リスが線路の上を走っていた
なんだかふと笑ってしまった
駅のホームで
笑いながら涙を流してる女なんて
随分と不気味だな。

彼がホームにやってきた
親からメール来た
そう言ってた
帰宅の催促だそうだ
お父さんが家に帰ってきてるから
早く帰ってきて欲しかったのだろう。

どうでもいい会話をして
次の電車で帰ると言った
ただ数分の為に戻らせた罪悪感
彼にもう一度会えた喜びよりも
罪悪感と哀しみの方が大きかった。
アタシは何がしたかったのだろう
心が苦しい。

電車に乗り込んだら涙が出そうになった
彼の前で泣くのは嫌だ
また悩ませちゃうじゃないか
下を向いたら涙が落ちた
そのまま横を向いて顔を一瞬隠す
彼に悟られないように
よく泣く女は嫌いだ。
なんで彼の前だと涙が出るのだろう
普段出ないくせに。

ドアが閉まる
彼はガラスの向こうでおどけた顔をする
アタシは声を出さずに笑う
手を振って
電車が動き出す
混雑した車内
アタシは窓から外を眺めつづける
彼の最後の姿をガラスに映したまま。

途中乗り換えて座る事が出来た
アタシは荷物を抱え込んで下を向く
誰にも涙を見られたくなかった

声をだして泣きたかった
彼がいとしかった
淋しかった
哀しかった
こんな思いをするのなら
会わなきゃよかったとすら思えた
だけどすぐ又
会いたいと呟くのはわかっている。






小さな丸いケーキを食べるの
彼がアタシの為に選んだプレゼントを
そっとそっと開ける
小さな子供が始めて自転車を手にしたような
そんなびっくりして嬉しい顔をするの
そして抱き合うの

人の居ないホームで抱きしめて
最後のkissをするの
またねって
そう言って手を振るのよ
名残惜しそうに彼が腕を引く
だからアタシも彼を抱きしめるわ






そんな夢を
見ることすらできない。

幸せで哀しくて辛くてそれでも
それでも大切な3日間の思い出
誰にも言わないでそっと
鍵をかけるしかないのだろう



馬鹿馬鹿しい夢ばかり
馬鹿馬鹿しい憧ればかり
馬鹿馬鹿しい希望ばかり

あまりに馬鹿馬鹿しすぎて
笑っちゃいますか?
でもアタシ
そんな夢を
見ちゃうんです。






何も言わないで







叶わないのは分かってる。



 

                  水鳥。


...




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