カフス(獅子鷲)


 Past : Will 2006年05月07日(日) 


強気受けな48の裏的台詞

30. ……誰が頼んだよ

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この世の中にあるどんないいものでも、
我々がそれを使える範囲でしか価値がない。


(デフォー)




背中に感じる、ベットのスプリング。
白いシーツは今日の午後に取り込んだばっかりのもので、まだ、日向の匂いがする。
ぼんやりと見上げた走の顔。にっこりと微笑んでいた。
…こいつ、こんな笑い方似合うよな。
これも惚れた欲目って奴か…?


 …いや、自分でも分かってるんだ。これが現実逃避だって事は。
こいつのちょっとアブノーマルっぽいトコロには慣れてるつもりだったけど、今、自分は何をされてるんだろう。
ちょっと、認めたくないんだけど。
押さえられた手首。かちり、と聞こえた微かな金属音。くすり、と笑みを滲ませて。
 見せられた金色に輝く鍵。
 ベットに腰を下ろした走が、自分を見下ろして。
柔らかいテノールが、楽しそうに響く。

「ラブカフス。こないだTVで見てちょっと気になったから、通販で取り寄せてみた」

手首を戒める、ふわふわの、フェイクファーの付いた手錠。

「なんで、こんなもん…。」
「ソフトSMのセットもあったんだけど、俺も岳もMだし」
「誰もんな事言ってねぇ」
きっ、と睨み付けえると、走は低く、笑って。
耳元に寄せられた口元。俺の大好きなあの声で、囁きを零した。


 「何時もと違う状況って、燃えない?」
 
 「…ッ誰が、頼んだよ」


からかいの滲んだ声。自分が、そう言われればどうしたって意識してしまうのを知ってるから。
本当に性質が悪い。何で、こんな男が好きで好きで仕方ないんだろう。
降り注ぐキスに目を閉じて。
ベットの端に括り付けられて。

動かせない身体を少し持ち上げて、キスをねだる。




ゆっくりと、焦らす様に外されるボタン。
肌の上に滑り込んだ、骨張った指先にくらくらして。
纏っていたシャツを、脱いで床に落す音。いつもと違う、明るい光が細められた瞳が自分を見下ろして。
 
ぞくぞく、する。
うっとりとした心地で見上げる。

部屋の照明が眩しくて、目を細めて。

「あ…ッ」

身体の上を滑る指先に、いつも以上に反応してしまう。
下半身に集まる熱を、身体を捩らす事で逃がす。

それでも、きっと、すぐに。

溺れてしまうし、
開かれて、しまうのだろう。


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ラブカフス。何故かうちにもある よ!
ただし、がっちゃがっちゃ暴れると自力で外せる よ!(意味がないよ)

ウチの獅子鷲は二人ともMです、が、
獣医は一応攻めなのでちゃんと攻めます。
でもきっと、潜在的なM属性は獣医>鷲ちゃんだ よー。



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