よくできました(獅子鷲)


 Past : Will 2005年09月10日(土) 


そっと唇を離すと、目をぱッと開いてまじまじと俺を見る。
それから、鼻の頭に指をやりながら照れくさそうに笑って言った。

「よくできました」

自分からやったことなのに、自分で信じられなくて、
俺は返事も出来ずに俯いて。
コツン、と額をぶつけられ、ツン、と鼻の頭をぶつけられ…。
仕方なく、視線をあげる。
柔らかい茶色の瞳が、ほのかに笑みをたたえて、俺を覗き込んでいる。

「ねぇ…もう一回、してよ」
「…調子に乗るんじゃねぇよ」

言い返す言葉にも力が入らず、結局のところ、俺はとっくにとろとろに溶かされてしまっているのだと気付いて、なんとなく腹立たしいような、諦めにも似たような、でも、どことなくほっとしたような、交じり合うことのない色々な気持ちがぐるぐると渦巻いて、喉の奥で小さな塊になって。

あまりの息苦しさに耐え切れず、俺は走の顔を押しのけ、頭を抱えてその首に噛り付いた。




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まだまだ、残暑キビシク。
涼しくなるまえにべったべたしたのを。
萌えバトン・コミックバトン回して下さった方有難うございます。
状況が整い次第、アップさせて頂きます。


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