ネコ科?(獅子鷲)


 Past : Will 2005年09月09日(金) 


注)8日から続いてます。


俺は、渋々、前髪をかきあげ、

「で? これで俺がネコ科かどうか、どう見極めつけるんだよ?」

っていうか、俺はそもそもヒト科に属しているつもりなんだが。
生まれてこの方、にゃぁとかみゃぁとか鳴かずに、フツーに暮らしていたつもりなんだが。

ぶつぶつ文句を言う俺に、走は何も答えをよこさず、ただ、口の端っこをにっと引き伸ばして笑みらしきものを落としたようだった。
だが、次の瞬間、俺の視界は走の手に遮られてしまった。
熱をはかるように押し付けられた手の平は、しかし、俺の額よりも暖かく、じんわりやんわりと熱を溜めていく。
そしてもう片方の手の平は、俺のまぶたと鼻を包み込むように当てられていた。
頭を座席の背にあずけ、走の手が与えるほどよい圧迫感に、なんだか眠たくなる。
初秋の風と、まだ窓に下げたままの風鈴の音色は、一定のリズムを保って程好く気持ちよく、俺の眠気を誘った。

そういえば、ガキの頃、電車で眠くなった俺の頭を、こんなふうに母親が抱え込んでくれてたような…。


「…ネコだねぇ、岳」
「ん? んあ?」

あれ?

ふいに視界が明るくなり、つられて目をあけた俺は、一瞬、頭の中が真っ白になって、隣に座る走の顔を見つめた。

「あ、、二重になってる」

面白そうにくくっと喉を鳴らした走のほうが、よっぽどネコっぽく思えるが…。
慌てて目を擦ると、瞼がひっくり返ったような感覚で、しぱしぱとと瞬きも大きくなったような感じがした。


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獅子鷲ィー!(外があついの)


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