獅子鷲(行雲)


 Past : Will 2003年10月03日(金) 


まるで、鳥の翼が大きく羽ばたいているかのような。
美しい雲が空で輝いていた。


思わず走っていた足を止めて見上げていたら、橋の向こうに見知った人が立っていて、同じように空を見上げていた。

「こんにちは」
「ああ、こんにちは」
「今日の空はとびきりキレイですね」
「ほんとうに」


穏やかにそう微笑み合って、そして再び空を見上げる。
大きな翼は、秋の清澄な太陽光を一心に受け、透明に輝いていた。

見ていると、わけもなく胸が震えて泣きそうになった。


「空が広く見えるところに、引っ越したくなりますね」
そう言い掛けて、やめた。


人工で固められた小さな川の上の、小さな橋。
他の場所よりホンの少しだけ空が広く見えるこの場所を選んでそこに立ち、愛しい思いで空を見上げること。
その、なけなしの空をこんなにも大切に思い、そして分かち合うこと。

悪くない、と思った。


「岳〜!早く来ないと置いてくぞ〜!」
「おう!今行くー!」
 
「それじゃ」と会釈して別れた。


暖かな日常。

空には一翼の翼。


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