人の顔は必ず特長的な部分がある。
例えば絶世の美女といわれるクレオパトラは
実はとてつもない鷲鼻だったらしい。
もちろん美女というには程遠かった。
では何故あのように男性を虜にできたのか。
これには諸説あるがそのうちの一つとして
数ヶ国語の言葉を喋ることができたという説がある。
その当時の世界というのはローマ帝国が中心にあり
アレキサンダー大王が築いたヘレニズムの諸国を潰しつつあった。
アンティゴノス朝マケドニアがまずローマに滅ぼされ、
続いて隣接するセレウコス朝シリアが陥ちた。
旧アレキサンダー王国で残るのはプトレマイオス朝エジプトのみである。
このエジプトの女王がクレオパトラなのだ。
しかしながらローマにギリシャといえばラテン語もギリシャ語が公用語であり、
これらはみなインド・ヨーロッパ語族ではないか。
数カ国画がしゃべれるといっても各地の方言のようなものなので
日本で言えば標準語に加え関西弁と岡山弁と広島弁を話せるようなものだ。
まぁ、例えが悪くなったがクレオパトラは何ヶ国語も喋れた教養人であった。
これら数ヶ国語を流暢に使いこなす女性が使者として現れたのだから
カエサルはたまらない。というのも教養のある女性は当時では珍しい。
古代ギリシャは民主政治を行っていたという理想世界を唱える人がいるが、
実のところ女性に参政権は無く、子供を生むだけの器と見る向きが多かった。
それでも古代ギリシャでは骨のある女性が文学作品を残していたが、
その後はそのような女性は現れなかった。
その点で言えばかなりのステータスを持っていたことになる。
もちろんカエサルはエジプトを領土にしようとしていたし
クレオパトラもエジプトを守ろうと躍起になっていた。
つまり裏を返せば両者の思惑が一致したわけだが、
やはり教養のある女性は魅力的に映ったのであろう。
カエサルの暗殺後実権を握ったアントニウスを迎えたクレオパトラは
迎えの船を帆から船員の服装に至るまでピンクで統一したらしい。
このような演出方法も心得ているのだから
かなりの教養があったのは確かだろう。
人間顔ではない心だとよく言うが実のところは心ではなく才能なのではないか。
そんなことをレンブラントの自画像に描かれた特徴的な鼻を見て思った。
2004年08月24日(火)

Dag Soliloquize / tsuyo