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| 2005年04月02日(土) |
アジア映画祭りのつづきのつづき |
☆純愛中毒☆ ネタバレ満載でいきます。観たい人は読まないほうが面白いはず。
なんかの番組か忘れたけど、監督が映画について話してたのを見てたからか、だまされた。 魂が乗り移るなんてあるのか?この弟は何を企んでるのか?、、、全然そんなふうには考えなかった。 魂が入れ替わるなんてあるのか?じゃあ弟の魂はどこにいったのか?兄の中にあるというのか?先に死んでしまったのか?、、、そんなことに気をとられてしまった。不覚かも。
なりたったのは配役の妙か。役者の努力と撮影角度の工夫など。先に兄、ホジンと弟テジンの兄弟のつながりの深さを印象づけ、またホジンの姿を印象深く映像に残していく。同時に、雰囲気は似ているが、テジンのホジンと反対の側面をみせておく。 テジンがそう思ったようにホジンの死をぼやかせ、だまされる。少し疑問に思う。なぜテジンの体に宿ったホジンはすぐに自分がホジンだと訴えないのか。困惑?自分でも整理がつかないので、流れにまかせていた?すぐに、だまされたほうの答えを探したがった。
見せ付けられたホジンの姿に、なんと重なるテジン!テジンの兄嫁ウンスに近い視点で驚くことができた気がする。
自分が恋に落ちた女性を兄から紹介される。二人が結婚するまでに弟がどうするか?その女性が弟の気持ちに気付いたら?仮に弟が二人を祝福することを選んだとして、結婚した二人と同居していたら。兄と兄嫁は幸福で安定した夫婦だが、数ミリの隙間に弟が入り込むことは普通にないだろうか。揺れる兄嫁、弟に片思いする別の女。 ありがちな普通のどろどろなドラマになるしかない。
テジンはウンスを愛した。愛しすぎて、乱すことよりホジンと仲むつまじいウンスを見つめ続けることを選んだ。それは悟られてはいけない。テジンはホジンも大切だった。兄だから、ウンスが愛するから。そこにまた、必然と思えるようにテジンのカーレースの事故と同時にホジンの乗るタクシーが事故に遭う。
なりたったのは、ただの兄弟以上に親密だったこと。異常に仲の良い夫婦。ここをさらっとでもくっきり見せ付けられることによって、信じられないことだけど魂が入れ替わるなんてあるのかもしれない。ウンス、早く気付いてあげて、でも姿は義弟、受け入れるのは簡単じゃないのかな、などと考えてしまうくらいである。また、テジンに憧れるエジュまでが、彼がテジンでない可能性を穏やかに受け入れていく。
エジュがキーになるんだけど、彼女がいわゆる敵役にならないで去ろうとするサラリ感もいい。どろどろしない、さらりと淡々と進んでいく中に、映像でホジンのしるしがいくつも見せ付けられる。それをなぞるように見た目テジンがホジンになっていき、再び幸せが訪れる。
監督が、韓国の家族観では、兄が死んだからといって兄嫁が義弟と結ばれるというのはあまり受け入れられるものではないように言っていた。日本では、戦時中など、「そうしてくれないか?」と婚家のほうが頼むケースが往々にあったらしいが。それも含め、監督は、この物語の結末がどのくらい受け入れられるかは、わからないようなこてを話していた。
ので、テジンをホジンなんだと受け入れたウンスとの幸せなピクニック風景で、あと30分くらい残り時間があって、私は、なんで?安と何があるんだ?と、不思議に思った。クライマックスはウンスがそう信じるシーンだったのでしょ?と。
あぁ、監督が言った結末はそこではなかったのですね。ホジンのしるしは、テジンのものだったのだ。特異なテジンのウンスへの執着は、一種拷問みたいな生活に耐えた。そしてさらに、ホジンの死によって、本来の自分を葬ってでもホジンとしてウンスを愛する生活を選ぶ。選んでも普通はばれるが、ウンスとホジンを見つめ続けたテジンには可能だった。アイデンティティが崩壊しそうな生活に耐えてテジンは生きていくのだね。 エジュが見つけた本当のホジンのしるしはテジンでなくウンスによって開封される。衝撃を受けるウンスだが、テジンをホジンとして生きていくことを選んだみたい、、、。
この物語にまだ終わりはない。エジュはテジンに「あなたの狂った愛をいつか理解できるのか」と否定や批判しはしない。テジンはおそらく耐えるだろう。しかしウンスは?知ってしまった以上、彼女はテジンに一種の怒りや恐ろしさや憎しみや不気味さを感じはしなかっただろうか。彼女が義弟と生きると決めたのは、もしかして復讐?ただ、ホジン無しでは生きられそうにないから?ホジンのしるし、思い出のいくつかはテジンのアドバイスだったし、ホジンを愛するようにテジンを愛するようになるのだろうか。少しづつテジンらしさが表れても、ウンスが愛してしまったら、テジンは生きやすくなるんだろうか。いつか、テジンは告白するだろうか。そういうことはなく、テジンでもホジンでもない、もしくは両方である一人の男と女として、愛に溺れていくのか。大切なかけらをなくしたもの同士、慈しみ合うのか。
色々考えてしまう、余韻の残る作品でした。単純に感想を言えば、だまされたおかげで、面白かった。わかった上でもう一度、テジンなビョンホンを見返したら、感じるのは驚きか愛の恐ろしさか、悲しみか。
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