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| 2002年03月02日(土) |
彦馬がいったりいかなかったり |
ほんとのタイトルは『彦馬がゆく』〜HIKOMA,THE HERO〜ですね。
三谷幸喜の唯一の時代劇。市井の人を描きながら、その人物神田彦馬が写真館をやっていたことで、時代の寵児たちをその写真に収めることになったという、その物語。実在のモデルをヒントに彼が描いた写真馬鹿神田彦馬。これは10年前?の再演です。(あやふやでごめんやす。今手元にパンフレットとかないの。最近記憶層浅くてやばーい。)
これも結構入手難関チケットの部類ではなかったでしょうか?私は2回、観れました・・・・が、しかもマイ初日は1列目でした・・・・が、端でして、おぉ、目の前に松重さんだっ!とか、筒井くんだっ!とか思えるんだけど・・・・ね。で、2日目はかなりあとで購入できた補助席で、ま、その1列目と反対側だったんですが・・・端でね・・・。もちろん、普通に先行予約でゲットしても、げっ!うしろから2列めかよっ!とかよりは、かなり前で観させていただきまして、役者さんの表情なんかもかなりわかりましたし、それはそれでよかったんでよございますが、これはDVDが出たら、絶対買わなくては!ってほど感激したかっていうと、ちょっと長すぎ?とか、色々問題あれども、絶対観て確かめなくては!というラストの、他の人にはどうだかわからないし、他にもさすが三谷幸喜的ツボがあちらこちらにちりばめられているのだけれど、このラストが、どちらの席からも堪能できなかったのが残念でなりませぬ。はふ、もう2列後ろでも真中ブロックで観たかったかも。
ココで終ろうかなぁ。
え?終わってほしかった?
あのね、丁度幕府が倒されるっていう時なので、史実の人物がこの神田彦馬写真館に多く訪れるわけです。神田彦馬、演じますは小日向文世。そして後を継ぐことになる次男筒井くん、新撰組に入ったリ、反対派に入ったリ、そのときの流行に敏感なだけの長男に伊原さん、そしてその兄たちとのん気な父の分、写真館経営に苦労している娘に酒井美紀ちゃん。で、この神田家を影で支える彦馬の妻が松金さんです。これだけですごいキャストでしょ?もうね、この、美紀ちゃんを舞台で観たのは初めてだったんだけど、上手かった。ほんと後で書くけど、切なかったよ。泣かされちゃったよ。松金さんは、下町のおかみさんで、実はしっかりもの、実は亭主についていくための心意気ももっているってとこをあますとこなく表現されてたし。伊原さん、私どうかと思いまして、「オケピ!」で、「テレビ出てれば?」って思ったからね・・・声届かなくて。でも、このとぼけた3枚目っていうか、どうしようもないけど見捨てられない長男を演じるに彼は適役だったかも。そして筒井くん。彼の朴訥な演技は変わりなく、しかし神田彦馬の次男として彼は、ナレーションも兼ねるわけなんですが、この朴訥さがとてもいい頃合で、好きでしたよ。で、で、で、何より、この小日向さんね。普段テレビでも色んな役でご活躍ですけれども、こう、舞台の上に常に乗ってるんだけれど、邪魔にならず、存在は消さず、そこにいることがあたりまえで、でもポイントポイントでなんか普通にしてることがお芝居として的面白かったり、内容としてとても重要な役目を、さらりと「え?そうなのぉ?」みたいな感じで担っていたり・・・。ついつい、舞台って目の前で役者さんたちが芝居やってると、今日はこの人を見るために来たんだから、他は見ないわ!って決めてても、私って動き、特にセリフのあるとこに目がいっちゃうの。素人だね?だから、今回も2回行って、やっぱり、あちこち目がいくのね、でも、その端々にいる小日向さんが、その主に今セリフいってて、作り手的に今ココ見てよってとこ見てるんだけど、それも見つつ、小日向さんも見てるっていう、ずーっと小日向さんを追ってなくて舞台広いですから、後悔することもあるんだけど、主を見てる時、視界にはいってる小日向さんがいっぱいこう、記憶に、どうこうってとこまで覚えてないけど、残ってて、それがすっごいほんわかしててこの「彦馬がゆく」の一つの大きな魅力に、私にとってなってるなーと思ってます。
他にはね、阿南さんや馬でやってくる梶原善ちゃんとか、笑かされどころ満載。で、あとは瀬戸カトリーヌ(サタスマの慎吾ルチェの犬の名前じゃないよ)がね、一生懸命やってます!って言う以上に、ほんと上手だったよ。もっと上手になれると思う。収穫ね。でね、松重豊さん・・・・ちょっと、テレビじゃコワモテか、地味な人?ちょっとちょと、実物観て、舞台の上で、もう、どんだけかっこいいの?!ま、彼がなんと坂本竜馬の役なんだけれど・・・・。ちょっとどんくさかったりする竜馬を前半やりましてですね、後半、いやん、そんなぁみたいな、展開になっていくわけですよ。
美紀ちゃんの切なさはここにありね。美紀ちゃん(ごめん、うっかり役名が飛んでいます)、坂本さんがどんな人か知らずに恋しちゃいまして、坂本さんも自分はそんな道を行くのに、美紀ちゃんに恋しまして。あのね、時はいまでいうとクリスマス。西洋かぶれしてきている坂本さんは、美紀ちゃんをこっそり呼びまして、ショートブーツをプレゼントするんですよ。サイズもきかずに。で、西洋の習慣で好きな男女がこうして贈り物の交換をするらしいので、受け取ってくださいって。「これ、なんていうんですか?」「シュー」「シューですか」(一足だったらね)・・・・・照れあう2人。そしてこういう時にいう言葉がある、それはね「メリークリシマシ」です。「メリークリシマシ・・・?」慣れない言葉をそっと口にする美紀ちゃん。もう、ラブラブで・・・。もちろん、「メリークリスマス」という言葉の意味なんてきっと竜馬も知らなかったのか、彼女にしてももう、聞く必要はなかったんだろうね。
そして、坂本さんは京都へ行ってしまった。最初来ていた手紙も来なくなる。このとき、例の優柔不断で新撰組に入らせていただいていた兄は、京都で何が起こっているか知っているものの、妹にはそれを告げられないでいた。折りしも、江戸で一触即発の時。京から坂本達も戻ってくる。彼女に本当のことは告げないまま、ただ、薩長が手を組んだという証拠の写真を神田彦馬に撮ってほしいというそれだけのために。彼女はけなげにも、坂本の帰りを喜び、足にあわないサイズの短靴を履いていた。ところが、結局は坂本は結婚していたことがわかる。その短靴を脱ぎ捨て、草履に履き替える。それからは、ビジネスライクに父や兄の手伝いを必死で涙をこらえてやるのだ。しかし、ラストで、神田写真館の方向にも砲撃がせまっているという知らせに、とるものもとりあえず(といっても父はしっかり写真の道具はもっているのだが)ここがつぶれても、またやり直せばいいさと、逃げようとする。それが舞台中央奥の破れた板塀の間からなのであるが・・・・。一度逃げたはずの美紀ちゃんが戻ってくるのである。彼女は危険が迫る中、あの短靴を探す。そして見つけた短靴をぎゅっと抱きしめ「メリークリシマシー!」と泣きじゃくるのだ。ここ、ここがもう、一番だめでした。きました。泣きました。心配した父が戻ってきて手を引っ張って逃げていくのですが、その破れた塀の向こうには大きな桜の木があって、実は鏡がセットとしてサイドにしこまれていたので、まん中ブロックに居た人には、降りしきる桜の中、去っていく親子の姿が最後まで見えたというわけです。
他にもぐっとくるところはたくさんあったし、笑いどころもたくさんあったけど、やっぱり、ちゃんと観たいのはそこかなぁ。あの美紀ちゃんの泣きは上手かった本当に。坂本め!!って思ったもん。そんな感じでプレーヤーもなくDVD申し込もうかな、あとでもいいかな、と悩むところであった。ちょっと遊びが長かったかなあ。あ、そうだ、大倉君も出てたんだ!官軍派で。
その後、場所をかえ、神田写真館は再開し、筒井くんの研究などで、第二次神田写真館の時代にはいっていくのです。もちろん、父、小日向さんも現役で撮りつづけるのです。
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