よるの読書日記
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2006年03月24日(金) 君の匂い

『世界の中心で、愛を叫ぶ』<片山恭一/小学館>
ふつーに書棚に並んでいたので、何か感慨深いものがありました。
ブームは去りにけり。
ドラマのごく一部と映画は観ましたが、思いの外静かな話でした。
中学高校と成長していく二人のむずがゆいときめき。
映画やドラマの印象から時代や地域や固有名詞がどっさり出てくる
のだと思い込んでいたけれど、じつはそうでもなく、
ざっと読む分にはどこにでもある地方都市の、どこにでもいそうな
爽やかカップルなのです。
病床にあって不思議に明るさを失わない彼女。
キスシーンより無人島での一夜より、パスポートと着替えを
持ち出すために彼女の家に忍び込むシーンが妙に胸に迫ります。
彼女のブラウスに顔を埋める彼。ちょっとフェチっぽいね。
でも嗅ぐ、という原始的な行動が描かれているこの場面が、
最も生身の人間の話らしいと感じました。


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