『睡蓮の長いまどろみ』下<宮本輝/文藝春秋>蓮と睡蓮は別物だそうです。知りませんでした。ボタンの掛け違いというか、ビリヤードの打ち損ねというか、世の中思いもかけない出来事がその後の人生にも大きく響くことがあるのですね。そしてまた、ありがちな失敗やささいな嘘が自分の人生に最後までしがらみや戒めとして残ったり、ひどいことには他人の人生を狂わせたりする。何となく哲学的な気分になる一篇でした。