よるの読書日記
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『マークスの山』上<高村薫/講談社文庫> 高村薫という作家は、一番最初に作品を読んだ時に 「おおっ、すごいぞこれ!」 と思ったわりにあまり手が出ない作家です。 考えてみたんですけれど、やっぱり女性とは思えないほど 濃密に男の世界を書く作家さんだから、なのでしょうか。 変な例えをすれば、四角い紙に四角く世界を写し取るのが 男性作家、丸いけど筆圧高く抉るように描くのが女性作家。 しかし高村薫という人のは四角くて、深い。ような気がする……。 面白くてページをどんどんめくるんだけれど、めくればめくるほど 何かを見落としていっているような、自分がその密度に ついていけないような気になるのです。 だからとても、感想の書きにくい作家さんだ。うん。
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