よるの読書日記
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2003年03月04日(火) S(すごく)F(古い)

『黄泉がえり』<梶尾真治/新潮文庫>
映画観て本も買う。いいお客さんですよね私、本当に。
原作を読んでいて、あれ、結構前の話なのかな?と感じる。
奥付を見れば文庫の出版は平成十四年、刊行も十二年で
ごく最近。考えてみれば冒頭から携帯の着メロの話だって
出てくるのに何だこの古……懐かしさは。
うまく説明できないんですが女子社員が
「急にお客が来たから休む」
と聞いて「そんなにひどいのか?」と上司が言うあたりとか。
悪気はなくても今時そんな発言したら笑われるくらいじゃ
すみませんよネ……。

あと人気絶頂のアーティストが「マーチン」ってのも。
名前が弥生であだ名がマーチ→マーチンという女の子は
日本中捜せばたぶんいるでしょうが、
あたしがその子の友達だったらメールの表記は
「まーちん」か「まぁちん」かなぁ……。
カタカナの有名人と言うとユースケ・サンタマリアとか
ダンディ坂野とか、何か三枚目の匂いがしちゃう。
映画だと「RUI」(原形ないぞ)だったように英語っぽい
表記にするのが今風。ああこの違和感って
歌番組のテレビ欄に近い。出演者が
グレイ グローブ トキオ ラルクアンシエル他、みたいな。

つらつら考えて、著者略歴を見て納得。梶尾氏は
昭和二十二年生まれ。古いのは作者だったのか(←失礼)。
映画では恋愛の要素が強いファンタジーだったのですが、
原作はもっとSFっぽいな。現象の原因とか。
熊本弁がバシバシ出てくるのとか、厚生省のお役人は来ないけど
地方行政が混乱したり対応に苦慮するあたりの描写は
リアルでいいなぁ。いかにも地元で県会議員だの市会議員だのと
じっこんでないとやってけない老獪な地方実業家らしいぞ。
映画は正直熊本である必然性、
あまりなかったもんな。映像としては風光明媚で良かったし、
五十年振りにかえってきた我が子を
「母ちゃんたいっ!」と言って抱きしめる所位か。
リアルと言えば週刊誌の「祝黄泉がえり美女ヌード」
もうおっさんくさくて◎。


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