よるの読書日記
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2002年12月22日(日) ささやくように 歌うように

フランス語というのは響きがなんとも詩的な感じが
して好きです。こんにちはとはい、いいえしか言えませんが。
ベトナムといえば戦争、枯葉剤、シャム双生児という
負の印象が強かったけれど、イメージを変えたものの一つに
『愛人 ラマン』<マルグリット・デュラス/河出書房>が
あります。映画化の際、デュラス本人に脚本を書かせようと
いう話もあったらしく、実現はしなかったものの
姉妹編であるこの『北の愛人』では映像化を意識した表現が
かなり出てきます。

解説では兄弟のポールについて兄か弟かはっきりしない――
デュラス本人がインタヴューで弟と発言していたり――
とありますが、小さい頃の写真で見る限りは兄でしょう、たぶん。
それにしても二十世紀人とは思えない大雑把な話だ。
でも、物語の世界の住人ならばこんなこと些細なのでしょう。
自伝的小説というのは、白黒つけたがる人にはお勧めできないかも。
本当なのか、嘘なのか、故意なのか、勘違いなのか。
私にとってはどうでもいい気がする。
目に浮かぶのは、ヴェトナムの強い陽射し、メコンの川面、
そして三つ編みに帽子を被った痩せっぽちの女の子、
ただそれだけ。


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