よるの読書日記
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『子どもを殺す子どもたち』 <デビッド・ジェームズ・スミス/翔泳社> 十歳の少年二人が二歳の男児を連れまわした後、惨殺。 ショッピングセンターを出る幼い三人の映像は日本でも センセーショナルに放映されていました。 本を読んでもね、やっぱりわかりませんでした。 子どもが子どもを何故殺したのか、その心理は……。 いいことと悪いことの区別はできる。 自分がしたことを母親が怒ったり、悲しむだろうと 考えることもできる。 自分の親が大好きで、たまたま出会った小さな子も そうだと思うなら、できるはずもないようなこと。 日本でも神戸の事件が起きて、いろんな論議がありましたが、 凶悪さ、というものは特別なものではないのかもしれません。 小さな倫理観があって、みんなが衝動を抑えているだけ なのかも。
ニューヨークの治安が良くなった背景には、「破れ窓理論」 があるそうです。窓の壊れている場所が犯罪の温床となり (麻薬の密売とか?)やがて凶悪化が進む。だから 窓が破れたらすぐ直そう――とパトロールを強化したのだとか。 少年達は何十人もの人に見かけられ、話もしている。 でも誰も小学生が平日に幼児を連れ歩いていることに きちんと対処しなかった。ううん、それを言ったら、 何度も学校をずる休みして万引きを繰り返す 我が子を、教え子を、近所の子を、誰か止めていたら。 こんな悲しい事件は起きずに住んだのかもしれない。 被害者の冥福を祈ります。そしてもう成人している犯人が、 自分の犯した罪を忘れずにいてくれることを。
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