よるの読書日記
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2002年05月17日(金) お隣の美沙ちゃん

私、山村美沙って読んだことないんですよね。
西村京太郎のは少し。父が十津川警部とか読んでたから。
なので私が知っている山村美沙関連の情報は
原作を用いた二時間ドラマと『知ってるつもり』、
そして『女流作家』<西村京太郎/朝日新聞社>だけと
いうことになります。

西村さん(独身)と山村さん(一応夫あり)が
お隣でしかも両家が渡り廊下でつながっていたというのは
知っていましたが。この本では二人の一見奇妙な関係を
馴れ初めから語ってくれています。
もちろん名前は別名になってるし、
学生時代の級友が作家になったのに触発されて
小説を書き始め、やがては生涯のライバルに……
みたいないくら女流ミステリー作家が少ない時代とは言え
ほんまにあるのかそんな話、というエピソードもあって
どこまでが事実を元にしていてどこからがフィクションかは
ちょっとわからないのですが。
時刻表ミステリーは編集者や読者の要望が強かったから
書いてるだけで本当はもっと違うものを表現したい
と言うのはまず間違いなく本音でしょうね(笑)。

しかし京ちゃんの愛が満ち満ちて垂れ流し状態の本です。
愛という名のバイアスってなんて強力なんでせう。
編集者電話で怒鳴りつける(それもたびたび)なんて
話さえも「もう、うちのミサちゃんたら
わがままで気分屋さんだよねぇ、ふぅ…でもそこが
可愛いんだけどねっ(はあとまあく)。」
みたいな感じです。ちなみにつむじ曲がりの特効薬は
胡蝶蘭だったそうで。
他にも大物作家に迫られたり担当さんがほの字だったり
胸大きいし学生時代はキャンパスの華だし、
そのわりに女友達は将来日本のクリスティvsトリックの女王と
して対立するヒトしか出てこないみたいだし、
何だか嫉妬心と独占欲ともう君しか見えない的偏見を
考慮して読んであげないと
「男の人ってどうしてみんなわたしのこと
好きになっちゃうのかなぁ…?一応ヒトヅマなのに。
もうっ。ミサ困っちゃうっ!」とか言ってる勘違い女と
それを間に受ける馬鹿男に見えてきそうで怖いです。
正式に結婚してないってだけで男と女の緊張感って
ここまで持続するんですねぇ。覚えておきます。
そう言えば山村美沙サスペンスは結婚前カップルが多いですな。



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