よるの読書日記
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2002年04月25日(木) ダーク平安

『噂の皇子』<永井路子/文芸春秋>
永井路子的解釈に基づけば、
平安時代というのはあれでなかなか際どい時代だったようです。
どうものほほんと和歌ばっかり読んでいたわけでもないと。
例えば当時の人々がやたら怨霊を怖れたりするのも
一種のポーズであったりするわけです。
「前大臣の、崇りではあるまいか。」
そうひそひそ囁きあうのは怨霊となった人を
蹴落として栄光を手に入れた人が妬ましい公達。
また自分の罪業を悔いるふりして成功者は
誰が次を狙っているか、誰が今のところ使えるかを
鋭く探っていたりして――。

今流行の安倍晴明とか、永井氏が書いたらどんなかな。
結構クールでニヒリスト、でもパフォーマンスが
派手で権力者の心理を上手に読み取るしたたか者が
そこにはいそうな気がする。
でももう原材料が手垢まみれだし、
もはや新たな晴明像構築って難しいかしら。
蛙殺すエピソードなんか読み飽きたわって位
あちこちで使われてるもんなー。難しいか……。


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