よるの読書日記
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2001年11月18日(日) 悪女ばいぶる



この読書日記は日本語で夜、英語でnight、 ドイツ語でnacht,
フランス語で nuit、ラテン語でnoxの意味を持つハンドルを名乗る者が
お届けしております。先日の日記について
正しくはエリーザベトである、というご指摘を彩様からいただきました。
はい。独語の表記から言うとやっぱりそうみたいです。
もしかしたら誤植なのかと思っていた…ので、
一般的且つ呼びやすい方を採ったんですが。(←いい加減)
慌てて調べてみたところ、エリザベートは仏語読みだそうで、
英語読みにするとエリザベス。全く間違いではないらしいです。
エカテリーナ(露)とキャサリン(英)よりは近い…かな。
勉強になりました(^o^)。

>世間様で人気がある歴史上の女性、印象としては“何もしなかった人”
という彩様の一言がきっかけで、
「ゼ・ベスト・オブ・何もしなかったルネサンスの女(勝手に決めた)」
ルクレツィアを読んでみよう!と思い立った私。
そう、あのアレッサンドロ6世を父に持ち
あのチェーザレ・ボルジアを兄に持ったあの人です。
昔読んだ『チェーザレ・ボルジア 
あるいは優雅なる冷酷』<塩野七生/新潮文庫>
でははっきり言って料理の添え物、パセリみたいな印象だったので
『ルネサンスの女たち』<塩野七生/新潮社>
を改めて読んだのですが。
せいぜい料理の付け合せ、人参グラッセのようだ…。
父兄抜きではお話にならないんだものこの人。
ただ単に浮気性な美人。政略結婚の道具に何回もされてるけど
本人堪えてないみたいだし。

長生きはできなかったけど後ろ盾なくなっても
旦那には捨てられずに済んで、子宝にも恵まれてるし。
近親愛説が仮に本当としても倫理観の欠如を物語る以外
裏はなさそう。
これが愛する長兄に権力を与えるために次兄をたらしこみ、
神に背いて血塗られた道を行く稀代の悪女、
だったりしたら面白かったのに。私は悪党が好き。

嫡子も庶子も、男子も女子も同等の教育を受けられた時代に、
どうも父ちゃんの策略権謀の血は兄ちゃんにしか
受け継がれなかったようで。
チェザーレが落ち目になってからの助命嘆願にしても、
もうちょっと政略的にうまい方法はあったんじゃないかなー。

その点カテリーナ・スフォルツァの悪女ぶりには
惚れ惚れいたします。同時代に生まれなくて良かったとも思うけど。
愛人を殺された折の復讐の凄まじさにより、
五百年経った今でもイタリアの親はぐずる子に
「カテリーナ伯爵夫人が来ますよ。」
と諭すのだそうだ…八つ墓村<横溝正史/角川文庫>より伝統的(笑)。


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