よるの読書日記
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| 2001年10月30日(火) |
あなた120までわたしゃ119まで |
もう何年前になるだろう、確か申年の終わり、 「とり」と書いた白いショーツを娘(義理含む)に贈ってもらって 穿くと下の世話にならない――と言うトンデモ都市伝説が 私の母の周囲で流行った。「とりさる」からの発想らしいが そんないい加減な噂、と思いつつ 「実行しなくて母が寝たきりになったら絶対思い出す!」 と思ったので結局贈ってしまった。
『安楽病棟』<帚木蓬生/新潮文庫>を読んで、ふとそんなことを 思い出した。誰だって痴呆や寝たきりは嫌だけど、 それは誰の身にも起こり得る。老後を待つまでもなく、今の医学では 昔では考えられなかったような重篤な事故の後遺症や病気でも 機械の力を借りて生かすことができる。 他人事ではないのだ。
でも、ボケてはいてもその痴呆症状は十人十色だ。 一人一人が死に向かって、とても個性的に生きている。 彼の『臓器農場』<新潮文庫>で、「無脳症児も、人間です。」 という言葉があったけど、痴呆老人も人間なのだと強く思った。 誰だって最期まで、尊厳を保って生きたいし、 自分でその意思すら持てなくなったとしても、 誰かに生き死にまで決められるのはごめんだ。
と、ここまで真面目に書いておいてなんですが、 「こころ」<夏目漱石>の昔から長編小説の中の手紙と言うのは 郵便局に出したら絶対定形外だろ、って程長かったりしますな。 書いててわかんなくなっちゃうのかね?
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