よるの読書日記
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曽野綾子「黎明」<徳間文庫> 戦争によって運命を狂わされた二人。 実の兄弟と知らずいとこ同士として育ち、 愛し合うようになった男女の物語。 一行目に「安井夫人」とある時点で 気付けよって感じですが――今時そんな呼び方某元大統領夫人か 某野球監督夫人以外に使わない――1957年作品の復刊。
お父さんヤな奴です。性格異常DV野郎。 細かい事一つをネチネチネチネチ。時には暴力も。 でもお母さんももうちょっと考えればいいのに。 反論して図星ずばりさして相手が逆上すると平謝り。 最初から忍従するか最後まで抵抗するかどっちかにしろい。 こういうのがのさばってるのがいかにも戦中戦後。 今だにいるのが怖いけど。 本当に自己チュー腐れ豚オヤジですが、 兄弟の秘密を漏らさなかったのは偉い。と言えないのが辛い所。 ああツライ(わざとらしい?)。
ところで今回の疎開先は前の前住んでた町のとても近所。 狭い街とは言え、続くと不思議。 金沢って疎開のメッカだったんですかね? 古都は空襲受けないって読みは軍部にもあったようですが。 そんな分析できるなら戦争負けるってもっと先にわかりそうなもんだ。
それにしても、善人・悪人の基準がわからなくなる小説です。 昔は良かったなんて年寄りは言いますが、 生きるのに精一杯でみんな自分勝手。 人心を荒廃させる戦争って恐ろしい。
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