よるの読書日記
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2001年09月24日(月) 暴走フィクション

私は昔「宵越しの本は持たない」と豪語した友人に
京極夏彦の本をまとめ貸ししたことがあります。
ここに懺悔致します。今まさに罰を受けています。
ところで件の「鉄鼠の檻」<講談社文庫>を書店で見て、
脳貧血起こしそうになりました。文庫って言うより文鎮。電話帳並の厚さ。
前に見た文庫版英和辞典より厚くないか?
おまけにこの価格。千円越したら文庫じゃねえよ…。
割高になってもいいからこれは同時発売の上下巻に分けるべきだったと思う。
加筆修正はあるけどストーリーは変わらないとのことで購入は控えましたが、
知らない人は買う気失せるぞあの分厚さ。

手持ちの「永遠の都」がなくなったので
「龍馬伝 青春編」「決死編」<つかこうへい/角川文庫>読みました!
すっごい。フィクションとわかってても時々
「えーと、ドストエフスキーの『罪と罰』って…幕末の時代に
存在したっけ?(←します。世界史に疎い)」とか考えてしまう。
ここまで破天荒にスケールでかいともう好きにしてっって感じ。

総司君は「純情伝」より更に多情でがらっぱちに描かれていますな。
土方が好きで新選組に入るのは同じだけど、
その他に高杉だの桂だの出るわ出るわ、
嫌ってたくせに龍馬が芹沢鴨にオカマ掘られちゃったらヤキモチ焼くし、
実は初恋は義兄の海舟で、どうなってんだ。(^_^;)

土方は二枚目路線だったのに今回は完璧ダメ男。人相から何から
えげつない設定に変わっていて、ちょっと気の毒。
でもまぁ押し倒した女に好かれようなんてキスしてエイズに
感染するより確率低いと思うので、これでいいのかも。
「龍馬伝」だし。(笑)

この小説のはっとさせられるところは視野の広さです。
日本だけじゃなく欧米の動き、世界史から見た
大政奉還の意義なんてものも出てくる。
かと思えば底辺に河原者や遊女達が生きていたことも描かれます。
更には歴史の暗部もかっちりと。大奥や公家の暗躍だけならともかく、
宮中や高野山お抱えの暗殺集団なーんて何だか伝奇小説みたいですが
どうだろう。ないとは言い切れない、気もする。
私の習った政権交代は武士による革命でしたが、
皆生きていて自分達がもっと行きやすい世の中を望んでいたなら、
もっと違う、語り継がれない戦いがあったのかも。
でも学生時代に読んでたらきっと混乱してたわ、
今まで放っておいて正解だったかも・・・と言えない問題が一つ。
ここまで読んで「おわり」ってどゆことー!
コラ待て、誰が龍馬を殺したんだ、総司はどうなったんだぁ!!呆然。


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