雑記

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2003年08月31日(日) また誰かいなくなること。

昼過ぎにかみさんから携帯あって、次郎吉が死んだらしいとか。かみさんの長い出張のため、知り合いの家で次郎君を預かってもらってたんだが、どうやらそのビルから落ちて死んだらしい。突然のことで何がなんだかわからなかったが、聞いた時から今まで、死んだらしい、という認識しかできていない。何をどうしていいのかわからなかったのでかみさんに任せた。

「飼う」という傲慢な響きが嫌いで、あくまで飼い主はかみさんで僕は同居人のつもりだった。もちろんメシとかトイレくらいの手間はかまわないが、次郎君をペットだ、なんて考えもしたことなかったし。なんてうまい事言い逃れしてたつもりだったんだろうけど、そういう人達が口を揃えてそう言うように、もう動物はいいやと思ってしまった。そもそも預けていたのもかみさんがしばらく家に戻れなくなるからだし、1日の半分以上を独りにすることも気になってはいた。
全然そんなことじゃないんだよ。

ちょうど1年くらいしか生きていなかったことになる。知り合いの知り合いの家の、たくさん生まれた子猫のひとりをわけてもらってうちに来たのが去年の9月の頭。すぐに物凄い勢いで大きくなり、たまに体調崩すこともあったけど概ね健康に育っているように見えていた。知り合いを呼んでちょっかいを出すのを見てては、そういや僕には牙向けなくなったよな、なんてちょっとうれしかったりもした。カリカリは嫌いでよっぽど腹減らないと缶詰しか食べないし、缶詰も白身の魚が好きで、、、帰ってくると眠たそうに起き上がってふさふさの尻尾立ててのそのそと玄関まで出てきて、、、
生きてるか死んでるかじゃない。そこに、ここに、自分の中にその人がいるかどうかだ。忘れなければいつまでも傍にいる。

伸びに伸びてたかみさんの仕事は今日までだった。夜にはまたこの小汚い部屋に3人いるはずだった。電話しながらなんとなくうろうろしてたら、かみさんも荷物だけ置いて実家に帰っちゃった。この部屋に居たくない、って、気持ちは判る。僕はもう十分一人には慣れたけど。

チーズ鱈買って帰る。飲んでたら一緒に食ってたもんなあ。匂いは必ず嗅ぎに来るくせに酒はダメだったみたいだけど。
・・・月並みな台詞だけど、次郎くんはこの1年幸せだったのかな、なんて絶対判らないことを思った。


次郎吉 |MAILHomePage