☆言えない罠んにも☆
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2003年05月30日(金) スライティストスライハンド

学校が、学園祭の準備で華やいでいた。

空は突き抜けるように青く、新緑に映える。
日差しもそれにまけじと容赦ない。
午前中で授業が済んでしまったぼくは、
大き目の日傘なんかでPowerを奪われないようにしながら
だらだらと図書館に向かって歩いていたのだけれど、
建物の中まで熱気は続いていた。お勉強はおもうように捗らない。
ようやく体の熱が発散されてしまった頃、ぼくはリーディングスの
ファイルを閉じて立ち上がり、エレベータで出口に向かった。
大学時代のサークルのリハーサルが始まる時間だった。

去年まで夢中になっていた世界だったけれど、
今年は土曜に松戸に行ってしまうので、今回のステージの練習を
見る機会はなく、サークルとも疎遠になっていた。

リハーサルはすこし始まるのが遅れていて、スタッフの後輩たちは
忙しそうに動き回っていた。ぼくは邪魔にならないように壁のほうで
突っ立って様子をぼぉっと眺めていた。

何人かの知人が声をかけてくれるので、ひととおりの挨拶をする。
この春のぼくの針路変更について、どこからかうわさが流れてるらしく
少し聞きにくそうな感じで「どうしてるの?」という話題になる。
ぼくはほとんど誰にも相談せずに今回の針路変更をしていたので、
(親に話したのも今年に入ってからだった)隠していたつもりもなかったのだけれど、
サークルにずっと行きそびれていたことと重なって、まるで触れて欲しく
ないことのように思われていたらしい。
きちんとどこかで言っておけばよかったなぁ、と思いながら
すこし微笑んで、その都度簡単な経緯を説明した。

2年生の女の子たちは、会社で働くことについてすごく知りたいといい、
ぼくは一般論のなかからぼくが経験上言っておいたほうがいいとかんじた
ことを中心に、真面目に、そしてすこしとりとめもないように、話した。

客席の照明が落ちて、ステージが始まる。
この一瞬の緊張感が期待を高めてくれるのだ。暗闇に、音が現れ、
舞台の幕が上がる。といっても学園祭の臨時ステージには幕はないのだが。

ステージは、まあ、学園祭の企画レベルには問題ないようなものだった。
後輩からは先輩扱いされるので、それなりに指摘するようなことをメモ
しながら見ていたのだが、明日の本番までに有効なことを少し伝えた後、
労をねぎらう言葉も残さず消えるように帰途に着いた。

印象的な場面が2つあった。
ひとつは静止画的に。もうひとつは動画として。

青い照明にうかぶ白い更紗のドレス。流れるように体を反らす演技。
これが静止画的な美しさ。

もうひとつは、手だ。

その手はひらりひらりとトランプのカードを消してゆき、
翻ったかとおもえば、ファンに開いたカードをいつのまにか出現させる。
手品師のスタイリストにはすこし文句をいいたかったが、
手の動きは、それまで見ていた不自然に主張したがる手たちと
ちがい、その儚さがきれいで不思議だった。

一緒に見ていた人の話では、もうひとりのカード使いはさらに
良いんだ、ということだ。
日曜の本番がすこし楽しみになっていた。


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