兼松孝行の日々つれづれ

2001年12月25日(火) TBS-TV「小田和正/クリスマスの約束」

小田和正「クリスマスの約束」を見る。
この番組は小田和正自身がそれぞれのアーティストに直筆で手紙を書き、ジョイントでライブをやろうというもの。
セットリストは以下のとおり

小田和正「言葉にできない」
 SMAP「夜空ノムコウ」
 福山雅治「桜坂」
 サザンオールスターズ「勝手にシンドバット」
           「真夏の果実」
 荒井由美「ひこうき雲」
 泉谷しげる「春夏秋冬」
 小田和正「さよなら」
 宇多田ヒカル「Automatic」
 Mr.Children「Tommorow Never Knows 」
 山下達郎「クリスマスイブ」
 小田和正「Yes-No」
     「ラブストーリーは突然に」
 小田和正with Friends「この日のために」

このライブは、今まで何の接点もなかった音楽を作る仲間同士が、お互いを尊敬しあい音楽等文化を成熟させる一つの機会になればという趣旨で行われたものである。
番組は6月からの本人を交えた番組編成会議から番組ができあがるまでのドキュメントを平行して流していた。
そして、各アーティストから来た返事は・・・

「全員欠席」

中でも小田本人は山下達郎への思いが一番強かったと思う。
いつしか、何がきっかけかはわからないが、小田・山下、お互いに犬猿の仲と評されるまでライバル意識を燃やし続けた。
山下達郎自身は「クリスマスイブ」をオフコースに対抗する唄として作った。
それが曲の中程にあるアカペラのカノンである。
オフコースは5人のコーラスが売りだった。
それに対抗して1人コーラスであれだけのクオリティーの高い作品を世に発表した。
山下自身はその後も「On The Street Corner」というアカペラアルバムを世に送り、「夏と言えば達郎」から、今では「クリスマスといえば達郎」という地位を確立した。
それほどまでに対抗意識を燃やした山下達郎自身は、小田和正からの手紙にきっととまどったのかもしれない。
山下からの手紙の返事の中には、以前のわだかまりがあるにせよ、小田に対して先輩アーティーストとして第一線を走っていることへの尊敬の念と、声をかけてもらえてことそのものに対しての感謝の気持ちが書かれていた。

番組のドキュメントの中で全員欠席がわかったとき、小田が
「誰も出ないことをテーマにやっていく」
という発言をしたが、テレビ局側は
「誰か1人でもビックネームを出さないと番組として成り立たない」
というやりとりがあった。
そこに「アーティスト」小田の覚悟と、マスコミ側の「エゴ」がぶつかった瞬間を見たような気がした。

ライブはとにかくすごかった。
今この瞬間にいないアーティストに対する思いがひしひしと伝わってくる内容で、その楽曲を書いたアーティストに対する尊敬の思いと、ここに、今この瞬間いないアーティストを絶対に後悔させてやると言う怨念というか執念みたいなものを感じた。
とにかくそれがたまらなくオイラの胸を揺さぶった。
同時に、これだけの地位を築いてきた人でも、気持ちが枯れていないことがとても嬉しかった。

そして、最後には小田和正の気持ちに共感したアーティスト達が参加した、この日のために書き下ろした曲で終わった。
そこに参加したアーティーストの名前だけでも2時間番組が軽々作れる顔ぶれがそろっていた。
そして、そこに込められてメッセージに感動し、執念を感じた。


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