加藤諦三 今まで十分に辛い思いはした。今まで十分に恐れた。今まで十分にふるえた。 今まで十分に怖じ気づいた。今まで十分にいじけた。 拒否されることを恐れるだけ恐れて、歓迎される自分を味わうことなしに死んでいくことはないではないか。 今まで十分に眠れぬ夜は過ごした。もうぐっすり眠れる夜を持っていいではないか。 今まで、よい人と言われるために、十分に他人の期待することだけしてきた。 今まで十分に、従順に生きてきた。そして何の報酬もなかった。 それは、けっして勝つことのないゲームに参加しているようなものだった。 他人の期待に従うことだけを目標に生きてきて、それでいつも拒否されることに怯えている。 けっして勝つことのないゲーム、そしてつねに自分を評価し判断する世界。 人びとはいつでも自分を評価しようとしている。 そんななかで十分に自意識過剰になり、十分に苦しんだ。 他人に十分に支配されてきた。 つねに自分を低く評価しようとしている人とは、十分につきあった。 可愛がってもらいたくて、十分に静かに生きてきた。 可愛がってもらいたくて、自分の意向は十分に捨ててきた。 そしてその結果として得たものは何であったか。 そう、それは神経症であった。 それが古い台本に従って生きてきたあなたの結末ではないか。 それでもなお、あなたは古い台本に従って生きようというのか。 新しい台本に従って、熱い人生を生きてみようとは思わないだろうか。 生きようと思えば生きられるのだ。
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