かえるの日記&雑談

2005年12月11日(日) パトリシア・コーンウェル「真相」

図書館で借りといて読んでなかったので本日ほぼ一気読み。時系列が前後して途中でこんぐらがるところもあったが、犯罪事件の検証の他にヴィクトリア時代の風俗や文化、医療などもややしつこいぐらいに詳しく細かく描写されていて面白かった。
特に作者が『犯人』と確信するに至った画家ウォルター・シッカートが幼児に受けたらしい性器の手術の模様が読者をびびらす勢いで書かれてるのだが、以前読んだナポさんが子供時代の治療のトラウマに怯えるスラは、これにインスパイアされたのかしらん、と勝手な憶測をする。

FBI捜査官シリーズとか死体は語るシリーズとかチカチーロとか死刑大全とか(しつこい)怪しげな本を棚に並べてる身で偉そうな事は言えないけども、年取った娼婦や田舎の小さな子供を背後から忍び寄って殺しちゃうような犯人は、ダークヒーローでも耽美でもデカダンでもなく、もちろん人より優れて頭がいいわけでもなく、ただただ身勝手で卑怯で根性無しのイヤラシイ奴なんだ、ということが読んでいるうちにじわじわと染みてきた。

「検死官」シリーズはどうも主役のスカーペッタ女史に親しみが持てなくて(そらまぁWASPでエリートキャリアで恋人もアッパー階級の、とか言われた日には)読んでも余り残るものがないのだが、この話は最初から語り口が1作で十数億は稼ぎ出す売れっ子作家様だと分かってるもんで、かえって開き直って読めた感じ。


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える夙川