ヤグネットの毎日
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2002年06月27日(木) 息子への読み聞かせ

26日は、午前中から団会議。最終本会議に向けての打ち合わせなどを行った。最終本会議のポイントは2つある。一つは、助役選任の同意を求める議案、もう一つは、有事法制に関する意見書案の採決だ。
 結果は、この日記でもメルマガでも報告したい。

 昨日も書いたが、福島章さんの『子どもの脳が危ない』(PHP新書)を読み終えた。
 僕が精神障害者の問題に関わりはじめたころ、この障害が「脳の病気」であり、適切な治療とリハビリこそが必要であり、その意味でも精神障害への啓発・啓蒙をはじめ、万全の医療と福祉のネットワークの構築が急務であることを学んだ。
 最近、少年による重大犯罪がクローズアップされ、学級崩壊などの問題とも関連して、「教育の危機」が叫ばれている。学校の問題にせよ非行の問題にせよ、その原因を親のしつけや教師の教育技術や地域や社会の教育力の低下に求める議論が今日一般的となっている。僕も、基本的にその立場にたっていた。
 ところが、著者は「それだけでは十分な説明にならない」と指摘し、「そういう深刻な事態に直面しているのが、今の子どもの問題の現実」だとして、次のような仮説を提起する。少し長いが、引用する。

 この問題(少年犯罪や学級崩壊のことー引用者)を解く鍵は、人の行動や心を動かしている器官である《脳》にあるのではないだろうか?人間の心や行動を理解するには、生物ー心理ー社会など、少なくとも三つの次元を検討し、その知見を総合しなければならない。

 この本ではまず、生物学的次元にあたる脳が、いまどきの子どもたちの間で変化していいるのではないか?という仮説を提起してみたい。

 以上のような立場から著者は、少年死刑囚らの精神鑑定を行ってきた豊富な経験とデータに基づいて、胎児期に与えられた環境ホルモンが脳に重大な影響を与えることなど、多くの社会病理現象が《脳の形成異常》というキーワードを通じて環境ホルモンと関係してくる接点を読者に明らかにする。
 さきほど、「豊富な経験とデータ」と書いたが、本書のなかには脳のMRIの写真などが紹介されている。ぜひ、一読をすすめたい。

 もう一つ。著者は、乳幼児期からテレビなどの大量の情報に接して育つことによって、子どものパーソナリティが形成が一世代前とはまったく変わってしまう《新人類化》が起こり、いわゆるキレル少年など、暴力行為に入る衝動的な子どもや注意欠陥多動性障害(ADHD)のような現代的な課題を生み出している可能性もある、と指摘する。
 では、どうすればよいのか?著者は、次のように提言する。
 一つは、これから子どもを産む女性たちへのメッセージとして2つのことを述べている。1)早婚の勧め。なぜなら、10代後半の若い母親のダイオキシン類の蓄積量は、30代後半の高年出産の母親のそれの約半分だからだ。2)出産に関する女性の役割分化の勧め。なぜなら、母親は、出産と授乳によってそれまでに蓄積したダイオキシンの半分の量を子どもに転移するといわれており、第2子に伝えられるのは、第1子に伝えられる半分、第3子は四分の一と減り、多産によって、子ども全体のダイオキシンへの平均汚染度を低くすることができる、というわけだ。

 二つは、テレビ放送に対する社会的取り組みをすすめることである。膨大かつ多様な情報が流れているなかで、人間の脳のOS、すなわち基本的な認識のプログラムに変化をきたしている、と著者は指摘する。親の世代以前を《旧人類》とするならば、旧人類の脳のOSが言語優先で論理的認識が中心であったのに対し、子どもたちの世代《新人類》の脳のOSは、大量のイメージ情報を処理するのに優れている、というわけだ。そして、テレビなどマスメディアを通じて流れる、暴力シーン等々が子どもたちの成長にとってもマイナスの影響を与えている、と指摘もしている。そのうえで、著者は次の二つを提言する。

1)親が個人としてできること。乳児期に子どもをテレビから離すこと、幼児期も1日1時間以内に制限するのがよい。これらは、子どもの人格形成に親が責任をもつ、という角度からも大切なことである、という。
2)社会全体としての取り組み。良識あるテレビ局が、番組の内容を視聴率本位ではなくて、子どもの心の健全な育成を考慮に入れて番組を編成するような努力が求められる、と指摘する。もちろん、何が健全で何が不健全かは、科学的な調査研究を時間とコストをかけて、子どもの脳と心を守るために行うべきだ、という注釈も忘れていない。

いずれにせよ、これらの問題は、社会全体の改革と密接にむすびついている。子どもの健全な発達と成長を第一におく、社会の抜本改革が必要だ。


 僕自身は、本書を「ハラハラドキドキ」しながらページをめくった。どれも、わが息子の子育てと切っても切れない話である。
 まずは、本の読み聞かせを実践することにした。家に帰ってからと夜寝る前、可能な限り息子と会話し、本を読んであげること。これを、本書を読んでの実践の第一歩としたい。

 


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