ヤグネットの毎日
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2002年05月21日(火) おすすめの一冊『集団的自衛権と日本国憲法』

 午前中、精神障害者の方から頼まれていた資料の印刷。自治体レベルでの精神障害者の福祉の充実を強く要望される。午後からは、二週間発行が遅れていたメルマガの発行などにあてる。
 携帯電話を変えた。通信費が高くついて困っていた。妻の携帯電話の利用期間が7年ともっとも長いので、そちらの会社の電話にあわせてファミリー割引を適用することにした。携帯電話でのパケット通信などを控えることで、これまでの半額近くまで電話代を抑えることができる計算だ。ただ難点がある。僕の携帯電話に登録されている300件を超す電話帳。携帯電話会社が変わるので、自分で一から登録し直さなければならない。これが結構時間がかかる。肩が凝って仕方がない。新しい番号は希望のある方、必要な方だけに教えるようにしようと思っている。
 
 宿題になっていた、浅井基文さんの『集団的自衛権』(集英社新書)の感想を書いておく。
 
 本書で一貫しているのは、日本の安全保障をアメリカの世界戦略のなかでとらえることだ。
 「日本がその領域防衛以上に安全保障を拡大し、連合の作戦を支援する適当な能力を取得するよう、日本憲法改定の努力を支持するべきである」。アーミテージ国務副長官(ナンバー2)が対日戦略を詳細に記したとされる報告書は、とてもあけすけだ。こうした報告も紹介しながら、浅井氏は、そのアメリカの当面の脅威が中国であることを指摘し、台湾の独立をめぐって中国との軍事衝突の危険性もある、というショッキングなシュミレーションまでアメリカが描いていることを紹介している。
 僕が、なぜいま有事法制なのか、で目からウロコだったのは、アメリカのシンクタンクのランド研究所が発表した「アメリカとアジア」という報告書。浅井氏は、この報告書を細かく分析し、日本がアメリカの軍事行動に巻き込まれる危険性が極めて高いことを警鐘する。少し長いが紹介したい。 
 
 まず浅井氏は、報告(「アメリカとアジア」)が、台湾での独立の動きなどが生じた場合、中国がとる可能性のある行動をアメリカが事細かに明らかにしていることを紹介し、台湾そのものに対する武力行使に至らない段階の軍事行動もシュミレーションしていることを指摘。そのうえで、浅井氏は次のように述べる。

「アメリカの軍事行動も、中国の武力行使にいたらない軍事行動の段階で開始されるということです。アメリカの軍事行動は、すべて日本を発進基地としておこなわれます。日本が米中軍事衝突にまきこまれる可能性は、きわめて早い段階からであることを認識しておかなければならないのです」(54ページ)
 
 今朝(5月21日付)の新聞をみると、有事法制の国会審議で、政府は武力攻撃のおそれや予測の段階でも、武器や弾薬の提供を米軍におこなう、と答弁している。浅井氏の指摘と恐ろしいほどに一致しているではないか。

 その他、本書では次のようなことが述べられている。3点ほど紹介したい。
○自衛権を歴史的にとらえること。とくに集団的自衛権は、アメリカなど大国の政治的思惑で意図的につくられてきた政治的考慮にもとづく産物であること、日本国憲法はもちろん国連の精神からいっても認められるべきものではないことを強調している点。ゆえにこうした考え方は、永久不変のものではなく、歴史的にとらえるべき考えであること。
○いま、私達にとって必要なことは、平和に関する認識を正確なものとすること。そして、日本の安全保障のあり方と日本の進路を自分たちの判断で選びとること。
○九条をはじめとした憲法が示す日本の安全保障政策は、「一国平和主義」などとは無縁で、日本の安全保障を国際の平和と安全にむすびつける、すぐれて国際主義の立場にたったものであること。軍国主義を排し、非軍事に徹することこそ、新生日本の安全保障政策の中心であること。

 「あとがき」で浅井氏は、日本が平和大国として行動することになれば、アメリカの暴走をチェックする大きな力となると確信する、と述べている。そのためには、日本の政治を主権者である国民の手にとりもどすことが不可欠、と強調する著者は、さいごに、こう喝破する。
「日本の政治を変えれば、国際社会を変えることができる。」
「危険をきわめる国際政治と日本政治を根本的に方向転換させることができるかどうかは、ひとえに私たち日本国民の政治的自覚にかかっている。」
 
 永年にわたり外交官として世界と日本を現場から見つめてきた著者からの、強烈なメッセージである。僕からもひとりでも多くの方におすすめしたい、一冊である。
 


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