ヤグネットの毎日
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2002年04月16日(火) 読みごたえ抜群の小説「日本崩壊」

四六製・二段組で509ページ。読書が好きな方なら、本の厚みや重さまで想像つくだろう。本の厚みだけではなく、テーマやストーリーといい十分読みごたえのある小説をようやく読み終えた。
 というのは、この小説を購入したのは昨年の年末。年明けから読みはじめたのだが、選挙や議会等で、じっくり読む機会を失ってしまっていたのだ。

 2003年6月。総選挙の投票日を一週間後に控えた日本政界が小説の舞台。政治経済の設定が妙にリアルだ。
 
表紙に掲載されたストーリーから一部引用する。

 「日本経済は膨大な国債の急激な格付け低下にともなって、国債、株、円がトリプル暴落し、戦後最大の危機に突入した。デフレは一気にハイパー・インフレーションへと転じ、リストラが横行、失業率は高まり、増税と社会保障費の削減で、市民の家計は困窮の度を増した。連立与党の支持率は、10%を割り、6月29日に予定されている衆議院選挙ではその敗北が確実視されていた。」

 権力の座から引きずりおろされる人物や組織がいかに醜く、手段を選ばない方法で保身に走るものか。さきの京都府知事選挙での出所不明の謀略ビラやあからさまなデマの口コミの流布などで、多くの有権者が目撃をしているところだ。
 この小説では、政権にしがみつく勢力の数々の権謀術策が次々と展開される。政権党である自進党幹事長の伊藤氏の陰謀による首相の令嬢の誘拐をはじめ、自衛艦による北朝鮮のスパイ船の撃沈作戦の計画、インフレを人為的に急激に加速させることで財政赤字を帳消しにする秘策等々。これらのスピーディーでリアルな描写は、まるで映画館でスクリーンを見上げているかのような錯覚に陥らせる。
 選挙戦のなかでは、インターネットを活用した「真実新聞」を中心に、市民勢力がたちあがって「市民政府綱領」なるものが発表され、政権の交代と政治の転換がよびかけられる。
 長く続いた自進党を中心とした政権を打倒してパニックにある国民の心理を安定させ、国民生活を守りながら財政を建て直す具体的な道すじを明らかにした「市民政府綱領」は、まさに現代の日本の政治を改革していくプランといっても過言ではない。
 
 この小説では、「誰が日本の政治と経済を破たんさせたのか?」「『滅びの業火』に向かって舵を切ったものはだれか?」を読者に問いかけ、「まだ間に合う」ことを提唱している。
 長くなるので、結論だけを書く。
 今日の日本経済と政治の危機の最大の原因は、政官財複合体による「土建破滅型国家」を形成したことであり、そして、利権の旨味を忘れられない政治家や官僚が、自らの権力の座を維持するためにのみ汲々としていることだ。そのことを、この小説は見事に喝破している。
 
 では、どうするのか?
 小説では、「土建破滅型国家」から「民主的福祉国家」への転換が唱われている。10年間で公共事業を半減にする。総額ありきの方法ではなく、真に必要な公共事業を積み上げる方式へと転換させる。そして、今後の公共事業は、国主導の巨大事業から、自治体による地域密着・福祉型公共事業への質的な転換を図ることとする。自治体によるこうした事業には、高齢者用施設、保育所、学童保育所などから、市街地や駅のバリアフリー化、木造住宅の低層住宅への公的資金による建て替え、路面電車の導入など多岐にわたる。

 今日、新聞やマスコミをにぎわせている「疑惑報道」の核心は、この政官財複合体による「土建破滅型国家」を21世紀も続けることで、国民の暮らしや平和を守れるのか?、これが国民みんなの前に問われていることなのだ、あらためてそう思った。
 そして、日本共産党が暴露した「機密費」を私的に流用し背広代、花代、餞別などの名目で国会対策にも使われいたというのは、権力の中枢部が私たちの税金を食い物にしながら、この「土建破滅型国家」、(僕は加えてアメリカ言いなりの国家体制)を維持するために奔走していることの、何よりも決定的な証明となるものなのだ。

 「疑惑を追及するより、経済問題や外交の問題を国会で論議してほしい」とテレビのコメンテーターが最近よくいうが、「あれかこれか」の議論ではなく、日本の政治や経済の根本をなす問題がこの機密費問題など、税金の私的流用問題なのだ。どちらも徹底してやることが、大切ではないのか。

 さあ、僕たちは、手後れになる前に、「民主的福祉国家」への転換をはかるために大きく舵を切りなおそう!
 


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