最近、円紫シリーズを再読している。 無性に読みたくなる時があり、今がその時期であるようだ。
本日の1冊: ・『空飛ぶ馬』(北村薫/創元推理文庫)
決して楽しいお気楽な話ばかりが詰まっているわけではない。 初めて読んだとき、そのことに驚いたことを思い出す。 大人に差し掛かったばかりのまだ潔癖さを有する主人公の視点から、 社会の裏側(でも、それが現実)を正直に切り込んでいく。 情報が氾濫する現代社会においては、少しぐらいの刺激には慣れ過ぎて、 「よくある話ね」で流してしまいそうになってしまう現実に対して、 義憤にかられるわけではなく、一抹の哀しみを伴ってそれを受け止める。 そういう意味では、「赤頭巾」なんかはリアルですごい話である。 もちろん小説の中の出来事なのだから、出来すぎの感もあるけれど、 大人社会に触れて居た堪れなくなる主人公の気持がよく分かる。
でも、この中でやはり素敵なお話は「空飛ぶ馬」。 ラストに置かれた心温まるクリスマスストーリーが私は大好きである。 そして、この話のモチーフになっている『毘沙門の本地』こそが 我が友人M木女史の修論のテーマと相成った作品なのである。 何が自分の人生にどのように作用するか、全く分からないものだなぁ。
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