2005年01月25日(火)  犬は言うまでもなく

『To Say Nothing of the Dog』
コニー・ウィリス著。

邦題は『犬は勘定に入れません あるいは消えたヴィクトリア朝花瓶の謎』とか…?(ググってもよくわからなかった)意味としてはともかく、「勘定に入れません」の方が小説の雰囲気にあってる気がします。

物語は、主人公のネッドが「タイム・ラグ」(過度のタイムスリップによる文字通りの「時差ボケ」)になったまま1888年に飛ばされるところから始まります。
このタイム・ラグとは、言語の聞き取りに弊害があったり、物事に対して過度に感傷的になったり、論理的な思考能力がなくなったりする症状を伴うため、ネッドの一人称で語られる物語の序盤は、読者もさっぱり状況が把握できません。
そしてネッドも読者も、過去で果たすべき使命すらよくわからないまま、気付いたらどこかの線路に立っていて…。

生き生きとした人物描写は、自分の知らなかった全く新しいイギリス史を見ているよう。『Dooms Day Book』を読んでいても思ったのですが、「生きた」歴史とはこういうものだろうと。その時代の文化だけなく、常識、価値観、関心ごと…どれも目からウロコなことばかりで、それが学術書でなくこういう大衆小説でテンポよく描かれるんだから、すごい。

それにしても『Dooms〜』と同じタイムスリップものでありながら、こうも違うとは…。打って変わってお笑い路線のこの作品は、1ペエジごとに笑えるくらい何かがおかしいのです。登場人物の台詞とか、主人公の心の中でのツッコミとか。そのツッコミもタイム・ラグのせいで的外れだったりとか。

この作品で好きだったのは、今現在いる場所と年代を知るのに、ネッドが相当苦労するところです。「主人公が困ったときに新聞が落ちてたりするのは、小説や映画の話だよ」と必死に手がかりを探すところが妙にリアルだと思うのです。
あと聞き耳を立てても話の内容が全く掴めないところ。笑。

でも最後のタイムスリップ云々時空云々の理論がよくわからなかった…。何となく、ドラ○もんのタイムスリップについて考えたことがある人なら常識と思うようなことが根底にあるような気はするのですが。確信は持てません。日本語でちゃんと読まないと駄目かな…。


   ×  


cerri ■