| 2009年02月01日(日) |
オバマ氏激怒、金融界けしからん 役員らの高額賞与に |
報道 1、オバマ氏激怒、金融界けしからん 役員らの高額賞与に 2009年1月30日 共同通信 2、オバマ大統領、巨額ボーナス「無責任の極み」と激怒 2009.1.30 10:23 産経新聞 3、就任9日目でオバマ大統領初怒り!金融界高額ボーナスに 2009年1月31日06時02分 スポーツ報知 4、米金融界が米国をつぶす 田中宇の国際ニュース解説 2008年11月28日 以前も書いたが米国社会は「自由という名の宗教」の暴走がある。次々と金融システムを作り、そして暴走し崩壊している。オバマ大統領が強力な指導力を発揮しても、容易にこの危機を脱することは出来ないと思う。
暴走の一例が公的資金の援助を受けているのに役員〈660人〉らの高額賞与である。支給額が推定184億ドル(約1兆7000億円)というから驚く。このことに対するオバマ大統領の怒りの内容を報道3で引用して起きたい。ともかく1人平均で25億円なのだ。
・・・世界的な金融危機の発端となったにもかかわらず、依然として経営陣に高額ボーナスが支払われているという事実に、オバマ氏はがくぜん。ガイトナー財務長官らとの会談後、記者団の前で怒りを爆発させた。 「新聞で読んだのだが…」と、自らこの記事について切り出すと「無責任の極み」「恥ずべきこと」と一喝。「破綻(はたん)寸前で納税者に助けを求めたウォール街の住人は、多少なりとも節度や規律、責任感を示すべきだ」と指摘した。左右のカメラに目線を向け、一語一語に力を込めながらの激しい批判。「経営者たちがボーナスを受け取ることも、いつかできるだろう。しかし、今はその時ではない」とその“強欲”さを厳しく戒めた。・・・・
追って明らかになると思うが、田中宇の国際ニュース解説の通り米金融界が米国をつぶす構図が明らかになって来ている。今まで35兆円の公的資金が投入されたが、不良の保証などを含めると空前の負担を米政府が肩代わりしている。
――――――――――――――――――――――――――――――― 1、オバマ氏激怒、金融界けしからん 役員らの高額賞与に 2009年1月30日 共同通信 【ワシントン29日共同】オバマ米大統領は29日、米金融機関が巨額の公的資金による救済を受けたにもかかわらず、役員らが昨年も高額のボーナスをもらっていたとして「無責任の極みだ。けしからん」と怒りをあらわにした。ガイトナー財務長官らとの会談後、記者団に語った。 同日付のニューヨーク・タイムズ紙によると、ニューヨークの金融機関が昨年支払ったボーナスの総額は推定184億ドル(約1兆7000億円)。前年比で44%減少したが、過去6番目の依然高い水準だった。 大統領はこの記事を取り上げ、大半の金融機関が破綻の危機に揺らぎ納税者に助けを求めているのに、高額のボーナスを支払っているのは容認できないと強調。「彼らがボーナスを得られる時もいつか来るだろう。しかし今はその時ではない」と戒めた。 さらに経営陣に対し「経済再生にともに取り組むのであれば、もっと責任ある行動を取るべきだ」として「慎み、自制、責任感」を示すよう今後も金融機関に声高に訴えていくと宣言した。 ―――――――――――――――――――――――――――――――
2、金融界はけしからん! オバマ大統領、巨額ボーナス「無責任の極み」と激怒 2009.1.30 10:23 産経新聞 【ワシントン=山本秀也】オバマ米大統領は29日、公的資金による資本注入が進むウォール街の金融機関で、経営陣に昨年支給されたボーナスが推計総額184億ドル(約1兆6600億円)に達したとの報道に触れて、「恥ずべきことだ」と非難した。ホワイトハウスでガイトナー財務長官と会談した席で、記者団に語った。 オバマ大統領は「支援を求めているウォール街の人々には、抑制や自戒、責任といった感覚を少しはみせてほしい」と指摘。 国民の税金で経営再建に取り組みながら、世間の相場とかけ離れた高額の賞与を受け取る感覚を「無責任のきわみだ」と酷評した。 この日の会談は、議会で審議中の景気対策法案に加えて、金融改革などを織り込んだ包括的な経済対策を協議するため行われた。 大統領は、2004年とほぼ同じ賞与水準を手にする経営感覚に疑問を示した形だが、金融機関をやり玉に挙げる批判方法を「ことを単純化し過ぎだ」(米CNBCテレビ)と懸念する声も出ている。 オバマ大統領は、当選直後の昨年11月にも、金融機関の経営陣に賞与の辞退を求める考えを表明。 「人員削減に取り組まざるを得ないのなら、せめて自らも犠牲を払うことを言明すべきだ。それが責任だ」と述べていた。 ――――――――――――――――――――――――――――――――― 3、就任9日目でオバマ大統領初怒り!金融界高額ボーナスに「恥ずべきこと」 2009年1月31日06時02分 スポーツ報知 「恥を知れ」―。オバマ米大統領(47)が29日、ウォール街の幹部らを一喝した。巨額の公的資金を注入されながら、金融機関の役員らが高額なボーナスを受け取っていたという同日付のニューヨーク・タイムズの報道に触れ、「無責任の極み。恥ずべきこと」と厳しく批判。「100年に一度」と言われる経済危機の発端となった米金融界の野放図ぶりに、冷静で知られるオバマ氏もブチ切れてしまったようだ。 就任9日目。新大統領が初めて怒った。怒りの発端となったのは、29日付の米ニューヨーク・タイムズ紙。同紙はニューヨークの金融機関が支払ったボーナスの総額を推定184億ドル(約1兆7000億円)とし、前年より減少したものの、過去6番目の高い水準だったと報じた。 世界的な金融危機の発端となったにもかかわらず、依然として経営陣に高額ボーナスが支払われているという事実に、オバマ氏はがくぜん。ガイトナー財務長官らとの会談後、記者団の前で怒りを爆発させた。 「新聞で読んだのだが…」と、自らこの記事について切り出すと「無責任の極み」「恥ずべきこと」と一喝。「破綻(はたん)寸前で納税者に助けを求めたウォール街の住人は、多少なりとも節度や規律、責任感を示すべきだ」と指摘した。左右のカメラに目線を向け、一語一語に力を込めながらの激しい批判。「経営者たちがボーナスを受け取ることも、いつかできるだろう。しかし、今はその時ではない」とその“強欲”さを厳しく戒めた。 破格のボーナスをめぐっては、大手証券のメリルリンチが救済合併直前に支給を決め、当局の捜査対象になっている。また、金融大手のシティグループが5000万ドル(約45億円)で、専用ジェット機の購入を計画していたことが発覚。その後、購入を中止しているが、公的資金を受けた金融機関の相次ぐ“モラルハザード”も、この日の発言に影響を与えたようだ。 緊急経済安定化法に基づく公的資金枠7000億ドルのうち、すでに支出された3500億ドルの大半が金融機関向けで、残る3500億ドルの活用策は近く決められる。選挙戦中には、共和党陣営から「銃所持禁止を支持している」などと中傷するネガティブ広告が飛び交ったが、冷静にかわしていたオバマ氏。クールさをかなぐり捨て声を荒らげた背景には、難しいかじ取りの中で、金融機関を“甘やかさない”姿勢を国民に示す狙いがあったようだ。 (
――――――――――――――――――――――――― 3、田中宇の国際ニュース解説 2008年11月28日 http://tanakanews.com/
●「田中宇の国際ニュース解説」が『まぐまぐ大賞2008』のノミネートされました。 大賞・各賞は、読者からの投票で決定されます。以下のサイトから、ぜひご投票を お願いいたします。【ニュース・情報源部門】の一番下です。 http://www.mag2.com/events/mag2year/2008/
●12月12日(金)に講演します。 http://www.business-cafe.com/weblog/
━━━━━━━━━━━━━ ★米金融界が米国をつぶす ━━━━━━━━━━━━━ 世界最大の金融機関だったシティグループが破綻に瀕したが、米政府がシテ ィに対し、3060億ドルの不良債権に債務保証を与えるとともに、270億 ドルの資本注入を行うと決めたことで、シティはとりあえず破綻を免れた。 http://www.ft.com/cms/s/0/447938ee-b9f0-11dd-8c07-0000779fd18c.html
米政府のシティ救済策は、シティにとって素晴らしい内容である半面、米国 民には巨大な負担となる。米国民(政府)が、3000億ドル以上の与信枠を 与えた見返りに、シティから得たものは、年間8%の利回りをもらえるとはい え、270億ドル分の優先株式だけである。シティは、とりあえず破綻を免れ ているが、いずれ再び危機的な状況に陥ってつぶれるかもしれない。最悪の場 合、米政府(米国民)は3000億ドル前後の損失を被る。 http://georgewashington2.blogspot.com/2008/11/citi-deal-is-lousy-for-america.html
米国では今、失業の増加と、株価や住宅価格の続落の影響で、クレジットカ ードのローン破産が増えている。昨年まで5%前後で推移していたカード債務 返済の延滞率は、倍増して10%に近づいている。日本の感覚からすると驚く べきことだが、米国のカード保有者の10人に一人は、ローンを予定どおり返 せなくなっている。 http://www.time.com/time/business/article/0,8599,1859224,00.html
シティグループは米国を中心に、1億8500万枚のクレジットカードを世 界で発行している。これらの発行済みカードが生んだローン債権の中の不良債 権(90日以上の延滞債権)は、1年間に67%の急増となっている。米金融 界全体に共通することだが、シティグループの不良債権は今後さらに増えるこ とが確実だ。 http://meltdown101.livejournal.com/17389.html
米政府は、シティ救済の直後には、フレディマックとファニーメイという政 府系住宅金融機関2社の救済などのために、新たに8000億ドルの救済枠を 作ることを決めた。シティ救済前に約7兆4千億ドルだった政府の金融救済枠 の総額は、1週間ほどの間に8兆5千億ドルにまで急増した。いずれ米政府は 財政破綻し、ドルの価値が下がって、米国はハイパーインフレになると予測さ れている。 http://www.ft.com/cms/s/0/e7411216-bafb-11dd-bc6c-0000779fd18c.html http://www.prisonplanet.com/cost-of-bailout-hits-85-trillion.html http://bloomberg.com/apps/news?pid=20601109&sid=arEE1iClqDrk
▼金融機関の共食いを容認する米当局
これだけの話でも、すでに米政府は十分に自滅的だが、11月25日のウォ ールストリート・ジャーナル(WSJ)には、もっと破壊的な話が載った。そ もそもシティグループの株価が急落して破綻しかけたのは、同業他社の金融機 関がよってたかってシティのCDS(債権の保険)の料率をつり上げて見かけ 上の倒産確率を引き上げ、その上でシティの株を空売りするという、シティを 潰して儲けようとする行為を行ったからだと、記事は指摘している。
WSJの記事が直接検証したのは、シティより2カ月前に同様の手口で潰さ れかけたモルガンスタンレーのケースである。WSJが「Anatomy of the Morgan Stanley Panic」(モルガンスタンレー危機の解析)という記事で報じたとこ ろによると、08年9月15日のリーマン破綻の2日後、リーマンと同業の投 資銀行であるモルガンスタンレーの株価が急落し、倒産確率を示すCDSの保 険料も高騰し「次はモルガンスタンレーが破綻しそうだ」という状況が市場で 醸成されたが、これは投機的な策略の結果だった。 http://online.wsj.com/article_email/SB122748970896452051-lMyQjAxMDI4MjI3NDQyODQ5Wj.html
メリルリンチ、シティグループ、ドイツ銀行、UBS(スイス)、カナダ・ ロイヤル銀行など、米欧のいくつかの銀行やヘッジファンドは、モルガンスタ ンレーのCDSを意図的に高い価格で売買して料率をつり上げて、倒産確率が 上がっているように見せかけるとともに、モルガンスタンレー株を空売りして おき、株の急落で儲けたと、記事は指摘している。モルガンスタンレーのCDS料率の上昇を見た多くの投資家が、同行の株を投げ売りしたが、破綻には至らなかった。
そしてWSJの記事によると、同じ手口はベアースターンズ(今年3月)や、 リーマンブラザーズが破綻する直前にも行われ、2行を破綻に至らしめた。そ して最近では、シティグループに対しても同様の手口が行われたと、記事は書 いている。シティは、モルガンスタンレーの時には加害者だったが、2カ月後 には被害者となった。
この記事を読んで私が考えたのは、こうした金融機関どうしの共食い状態に、 米当局はどう対処したのかということだ。財務省や連銀、証券取引委員会など が、この事態を知らなかったはずはない。日本なら、ある金融機関が他社の株 を空売りして、他社を潰してでも儲けようとしたら、すぐに当局がその動きを 察知してやめさせるはずだ。
かりに、08年3月のベアースターンズ破綻時に、米当局がCDSつり上げ と株空売りの策略に気づかなかったとしても、その後の調査では気づくはずで、 9月のリーマン破綻やモルガンスタンレー危機が繰り返されるのは全く奇妙だ。 私が考えざるを得なかったことは「米当局は、ベアスターンズやリーマンが金 融機関の共食いによって潰されることを容認した」という見方である。
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