| 2009年01月26日(月) |
金融危機:国の崩壊のある |
資料 イギリスの崩壊 ・・・・・・田中宇リポート
昨秋に財政破綻したアイスランドの金融界は、国家経済規模(GDP)の5〜10倍もの資金を全欧から集めていたが、その主たる運用先は英国だったのである。その英国が可笑しくなればどうにもならない。そもそも金融で国が栄えるなどは可笑しいのである。英国が米国オバマ政権の就任と時期を合わせたかのように、金融崩壊が急速に進んでいるという。田中宇リポートのポイント部分を引用したい。
「英政府は、国民の預金を守るため、金融界に公金を投入して金融崩壊を防がねばならないが、国債発行による資金調達の道はふさがれている。そのため英 政府は、中央銀行にポンドを増刷させ、その金で銀行の不良債権を吸い上げる (不良債権を担保に金を貸す)政策を強化することにした。これは米連銀がや っている救済策と同じだが、基軸通貨でない英ポンドの過剰発行は、通貨破綻 につながる。」 日本の2009年4月以降の法人税の落ち込みは空前のものとなるだろう。少なくとも今回の金融危機は何処の国も屋台骨がぐらつく事態なのだ。
――――――――――――――――――――――――――― イギリスの崩壊 田中宇リポート
米国オバマ政権の就任と時期を合わせたかのように、英国の金融崩壊が急速 に進んでいる。昨年9月のリーマン倒産を機に一気に悪化した米国発の国際金 融危機は、それまでのレバレッジ金融の金余りによって高値になったロンドン の不動産などの相場を急落させた。その後、昨年末の決算時に英金融機関の資 産の時価評価額が減り、いくつもの大手銀行が事実上の債務超過に陥っている ことが、今年に入ってわかった。
ロンドン不動産など英国に投資して儲けていた資金の3分の1は、外国から の流入だった。たとえば昨秋に財政破綻したアイスランドの金融界は、国家経 済規模(GDP)の10倍もの資金を全欧から集めていたが、その主たる運用 先は英国だった。金融危機がひどくなるにつれ、世界から英金融界に入ってい た資金は流出し、英ポンドは下落した。世界金融の中心として300年の歴史 を持つ英金融界と英政府は、アイスランドの銀行家のような「素人」とは違っ て手練手管を持っており、英金融界はリーマン・ショック後すぐには崩壊しな かったが、今年に入ってさすがに状況が厳しくなってきた。
英政府の失敗は、昨年10月に公金投入を中心とする金融救済策を打った際、 救済策は間違いなく効果があがると考えて、銀行の株を買って国有化するとと もに、政府が銀行に無制限の保証を行うことを決めたことだと、英デイリーメ ール紙が指摘している。いくつかある英大手銀行のうち、たとえば破綻寸前に なっているロイヤル・スコットランド銀行グループ(RBS)一つだけで、英 国の経済規模の2倍以上の2兆ポンドの債権を持つ。この債権の1割が不良化 (買い手がつかず価値喪失)するだけで、英政府の国民健康保険(NHS)の 年間予算の2倍の額が吹き飛び、英国民の公金を使って穴埋めせねばならない。 英政府が財政破綻に瀕するのは当然だ。
We're a nation on the brink of going bankrupt http://www.dailymail.co.uk/debate/columnists/article-1121427/PETER-OBORNE-We-8217-nation-brink-going-bankrupt.html
ウォールストリート・ジャーナル紙も「英政府の金融救済策は、目標とは正 反対の効果をもたらした。英金融界は立ち直らず、むしろ銀行株とポンドは急 落している」と書いている。同紙は「英政府は2月末までに新たな救済策を打 つというが、それではあまりに遅すぎる。不安がこのまま放置されるほど、預 金流出や債券売却による銀行破綻と、英ポンド崩壊という二重破綻の可能性が 増す」と書いている。事態は緊急だ。
Restoring Confidence in the U.K. http://online.wsj.com/article/SB123264148528006509.html
▼「もう英ポンドは終わりだ」
米英は同じ金融システムを持つが、同じ通貨を持つわけではない。米ドルは 世界の基軸通貨で、今のところ、米連銀はドルを過剰に刷ってもドル安やイン フレにならないし、米国債は株や社債を嫌気した資金の国際的な逃避先として 重宝され、米政府が過剰に財政赤字を増やしても米国債は売れる。しかし英ポ ンドは、ドルのような覇権通貨ではない。すでに英政府の財政赤字残高は 4000億ポンドで、その対GDP比率は、前回英国が財政破綻してIMFに 救済を求めた1976年当時より大きい。英政府は、もう赤字を増やせない。
英政府は、国民の預金を守るため、金融界に公金を投入して金融崩壊を防が ねばならないが、国債発行による資金調達の道はふさがれている。そのため英 政府は、中央銀行にポンドを増刷させ、その金で銀行の不良債権を吸い上げる (不良債権を担保に金を貸す)政策を強化することにした。これは米連銀がや っている救済策と同じだが、基軸通貨でない英ポンドの過剰発行は、通貨破綻 につながる。
Treasury gives go-ahead to `print money' http://ftalphaville.ft.com/blog/2009/01/20/51373/uk-treasury-gives-go-ahead-to-print-money/
米の著名な投資家ジム・ロジャーズは1月21日「もう英ポンドは終わりだ。 ポンド(建て資産)を持っている人は、すぐに全て売った方が良い」「ポンド を支えてきたのは、北海油田とロンドンの金融界だったが、今やいずれも枯渇 している。もはや英国は、何も売るものがない」「シティ(英金融界)も終わ りだ。国際金融の中心はアジアに移っている。今や、世界のすべての資金はア ジアにある。何故その資金をわざわざ欧米の方に戻す必要があるのか?。ロン ドンなんか不要だ」と宣言した。
ロジャースは数年前、中国中心のアジアが経済的に勃興することを予測して 拠点を米国からシンガポールに移し、多極化に賭けた人である。英国の経済力 (経済謀略技能)は意外と強く、その後、中国株が大幅下落したりして、事態 は彼の予測した速度では進んでいないが、英国が崩壊するとなれば、世界経済 の多極化も進むだろう。彼は、崩壊する英国に対して「ざまあみろ」と思って いるに違いない。
Jim Rogers: 'Sell any sterling you might have. It's finished' http://www.independent.co.uk/news/business/news/jim-rogers-sell-any-sterling-you-might-have-its-finished-1452384.html
以下省略
この記事はウェブサイトにも載せました。 http://tanakanews.com/090124UK.htm
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