| 2009年01月25日(日) |
ソニー過去最大の赤字 早期退職も募る |
報道 1、ソニー:2600億円営業赤字 管理職の年収10〜20%カット−3月期 毎日新聞 2009年1月23日 2、ソニー過去最大の赤字 役員報酬削減、早期退職も募る 2009年1月23日 朝日新聞 3、2009春闘:企業の内部留保、「雇用に活用」が争点に 毎日新聞 2009年1月19日 4、トヨタ、キャノンの巨額内部留保金 2008-12-23 http://d.hatena.ne.jp/yamada-home/20081223/1230036044
資本金10億円以上の大企業約430社の内部留保は2002年度で167兆円、2007年度末で総額228兆円と1.3倍増加している。02年から5年間で61兆円も増加しているのである。100年に1回の恐慌であれば、5年間で蓄積した内部留保を使う覚悟が必要だ。
この不況時のトヨタ(内部留保金12.4兆円)・ホンダ〈同4.6兆円〉・キャノン(同2.8兆円)ソニー(同2兆円)の行動に注目したい。ソニーは2兆円の内部留保金は、現在の従業員によって積み上げられたものである。今年度2600億円の赤字見通しになると、正社員8000人を解雇すると共に管理職の年収10〜20%カットするという。これが良いかどうかはこの記録を読む人の判断に任せたい。
トヨタ、ホンダ、キャノンがどう動くだろうか。内部留保金が潤沢にあるのに、簡単に社員を首切りに走るようでは、何のために内部留保金を蓄積してきたのかわからない。労働組合側は「内部留保を維持したままの雇用カットは経営者のエゴだ」と主張しており、今春闘の争点に浮上してきたようである。
―――――――――――――――――――――――――――― 1、ソニー:2600億円営業赤字 管理職の年収10〜20%カット−3月期 毎日新聞 2009年1月23日 東京朝刊
ソニーは22日、09年3月期連結決算の業績予想を大幅に下方修正し、本業のもうけを示す営業損益が昨年10月時点で予想した2000億円の黒字から、過去最大の2600億円の赤字に転落する見通しだと発表した。最終(当期)損益も1500億円の黒字から1500億円の赤字になる見込み。世界的な景気悪化で液晶テレビなどデジタル家電の販売が急減し、円高も響いた。営業赤字と最終赤字はともに95年3月期以来14年ぶり。売上高予想も9兆円から7兆7000億円に下方修正した。 大幅赤字の責任をとって、ハワード・ストリンガー会長兼CEO(最高経営責任者)や中鉢良治(ちゅうばちりょうじ)社長ら代表執行役3人が08年度の役員賞与を全額返上する。その他の役員も賞与などを減額する。ストリンガーCEOは22日の会見で「構造的な改革を進め、危機を乗り越えたい」と述べた。 09年末までに1000億円以上と見込んでいた費用削減を総額2500億円に上積みする方針で、人件費も大幅にカット。管理職の年収は10〜20%のマイナスとなる見通しだ。 金融危機が深刻化した昨秋以降、売上高の約7割を占めるエレクトロニクス(電機)部門が打撃を受けた。今年度の液晶テレビ「ブラビア」の販売台数見通しは昨年10月時点から100万台減の1500万台に下方修正。デジタルカメラ「サイバーショット」も2150万台へ250万台引き下げた。 為替相場が下期の想定レート(1ドル=100円、1ユーロ=140円)より大きく円高に振れ収益がいっそう悪化。円高による減益分は約600億円に上る。 すでに09年度末までに国内外で8000人の正社員削減を発表しているが、2月中旬から本社(東京都港区)の正社員を対象に希望退職を募る。【森有正】
――――――――――――――――――――――― 2、ソニー過去最大の赤字 役員報酬削減、早期退職も募る 2009年1月23日 朝日新聞
ソニーが、09年3月期決算で巨額の営業赤字を計上する。トヨタ自動車の営業赤字予想(1500億円)を超える2600億円の赤字幅だ。役員や管理職の賞与、報酬を削り、来月から早期退職支援制度を実施する。世界同時不況の波は、立ち直りつつあったソニーを直撃した。 「9月後半からの景気減速、年末商戦の厳しさは想像をはるかに超えた」。22日の記者会見で、大根田伸行・最高財務責任者(CFO)は苦渋の表情で語った。 09年3月期の営業損益の予想は当初は4700億円の黒字を見込んでいた。それが昨年10月末に2千億円に下方修正。さらに今回、14年ぶりに赤字転落し、赤字幅も過去最大を更新する2600億円になる見通しに引き下げた。 売上高予想も、10月時点の見通しの9兆円より14%減の7兆7千億円に。純損益は1500億円の黒字予想から、1500億円の赤字に落ち込む見込みだ。 決算悪化の主因は売上高の約7割を占める電機事業の不振。液晶テレビの年間販売目標は1600万台から1500万台に、小型デジカメは2400万台から2150万台に下方修正。価格競争で売値も下がった。景気減速と競争激化で減益幅は2500億円に達した。 ソニーは売上高の約8割を海外で稼ぐため、円高も追い打ちをかける。下半期は1ドル=100円、1ユーロ=140円と想定したが、実際はさらに円高が進んだ。10月時点で円高によるもうけの目減りは1300億円だったのが、1900億円に膨らむ見通しだ。 さらに株式市況の悪化で、ソニー生命などの金融部門が保有株の評価損を計上し営業損失に。これまでの収益源が総崩れになっている。 08年度の設備投資は、テレビ事業の増産投資の凍結などもあり合計で4300億円から3800億円に抑制する。
3、2009春闘:企業の内部留保、「雇用に活用」が争点に 毎日新聞 2009年1月19日 内部留保額の推移 00年 167兆円 07年 228兆円 自動車や電機など大手企業が派遣社員などの雇用削減を加速する中、企業の利益の蓄積である「内部留保」を活用し雇用を確保するべきだ、との声が強まっている。大手企業の内部留保は総額200兆円を超えるとの試算もある。労働組合側は「内部留保を維持したままの雇用カットは経営者のエゴだ」と主張しており、今春闘の争点に浮上してきた。【秋本裕子、森有正】 内部留保は企業の利益から株主配当や役員賞与、税金などを差し引いて残った分を将来の投資などに備えて社内にとどめておくもの。全国労働組合総連合(全労連)などによると、資本金10億円以上の大企業約430社の内部留保は07年度末で総額228兆円と、02年度(167兆円)の1.3倍になった。 特に自動車や電機業界は07年度までの世界的な需要増で内部留保は積み上がっている。毎日新聞の試算では、利益準備金や剰余金などを足した内部留保はトヨタ自動車が08年9月末で約12兆3000億円と02年3月末(6兆7000億円)の約2倍。ホンダも約4兆6000億円で2倍近くに、キヤノンは2兆8000億円で01年12月末の3倍に増えた。 連合などは「内部留保は雇用維持に使うべきだ」と指摘するが、経営者側には「投資や金融危機など不測の事態に備え、一定の内部留保を確保しておくことは不可欠」との考えが強い。大手電機幹部は「内部留保は国際競争力維持にも必要。取り崩せば、いざという時に投資の機会も逃しかねない」と話す。 さらに、内部留保は資本などに組み入れられており、取り崩すには株主総会の承認が必要。自由に使える手元資金とは違い、「いくらあっても現金があるわけではない」(福井威夫ホンダ社長)。 ただ、国内自動車メーカー主要12社による今年度の非正規従業員の削減はすでに約2万3000人に上る。大手自動車労組幹部は「従業員はこれまで残業や休日出勤で会社の成長に貢献してきた。不測の事態に直面する今こそ、経営資源をもっと人件費に振り向けるべきだ」と訴える。 与謝野馨経済財政担当相が「何兆円もの内部留保を持つ企業が時給1000円足らずの方の職を簡単に奪うことが正しいのか」と述べるなど政界からも援軍が出ており、経営者側は難題を突きつけられた形だ。
◆主な企業の内部留保◆ トヨタ自動車 12兆3000億円 ホンダ 4兆6000億円 パナソニック 2兆8700億円 キヤノン 2兆8000億円 ※08年9月末。有価証券報告書より
―――――――――――――――――――――――― 3、トヨタ、キャノンの巨額内部留保金 2008-12-23 http://d.hatena.ne.jp/yamada-home/20081223/1230036044
トヨタ、キャノンなどの大手製造業16社 内部留保金33.6兆円 大量の人員削減を進めるトヨタ自動車やキヤノンなど日本を代表する大手製造業16社で、利益から配当金などを引いた2008年9月末の内部留保合計額が、景気回復前の02年3月期末から倍増し空前の約33兆6000億円に達したことが08年12月23日、共同通信社の集計で明らかになった。 08年4月以降に判明した各社の人員削減合計数は約4万人に上る。しかし配当水準を維持、増やす方針の企業が目立ち株主重視の姿勢も鮮明だ。集計によると内部留保の合計は01年度末の約17兆円から08年9月末に98%も増加しているという。 (共同通信配信2008年12月23日 19時04分) トヨタ、キャノンの財務諸表を見て分かること ネットでトヨタ自動車、キャノンの財務諸表を見てみた。08年度の未処分利益は、トヨタ自動車が12.4兆円、過去5年間で1.49倍に増えている。キャノンは2.8兆円で、過去5年間で1.9倍も増えている。従業員としては、会社がもうかれば給与、賞与を上げてほしい。しかしトヨタ自動車もキャノンも、将来のためということを言って、給与はあまり上げてこなかった。他方株主への配当金は過去5年間で、キャノンは285億円から1316億円へと4.6倍に、トヨタ自動社は1377億円から4309億円へと3.12倍に増えている。キャノンは、過去5年間で売り上げも1.4倍になっているのに、人件費を含む一般経費は5年間ほとんど横ばいだ。おそらくは、下請に対しても買い叩いてきたのではなかろうか。 両社とも配当金は増やす一方で、人件費を抑制して内部留保という貯金を積み上げてきた挙句、いざ会社が苦しくなると人員削減を行った。金庫には金がうなっているのに、首を切られるのだから、文句が出るのは当然だ。 法人税の軽減は必要か 法人税率は88年は42%だったが、その後どんどん税率が下げられ、99年には30%と米国の35%を大きく下回った。しかし経団連は欧州に比べるとまだ税率が高すぎるとしてさらなる減税を求めている。しかし企業にはいろいろな形で優遇税制がなされており、実質的には欧州並みになっているのではないか。 過去、法人税が減税されることで、どうなったか。結局、内部留保と株主配当が増えただけだった。株主配当も近年の外人株主の増大から考えると、結局国民生活は全く楽にならなかったのである。 ちなみに米大統領選で、オバマは25万ドル以下の収入の家庭にはブッシュの減税策(2010年で失効)を継続するが、それ以上の収入のある家庭を減税対象から外すとし、キャピタルゲイン課税を増税すると公約、マケインはブッシュの減税策を高額所得者にも維持、法人税を35%から25%に減税すると公約した。 関連ブログ
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