7月下旬からの猛暑に促されるように、稲の穂が出てきた。蝉は僅かの夏を惜しんで鳴いている。夏といっても僅か数週間で初秋へと流れる。8月に入ってからの空は、雲が高くすでに初秋を滲ませている。稲も秋がそこまで来ていると感じてか、急ぎ緑の若穂を押し出してきた。一本の稲が、1本の若穂をしっかりと支えて・・・夕刻になると気持ちよい風がそよそよと流れ、稲は風に答えるようにさわさわと静かな音を奏でる。自然の中の一瞬である。
5月25日から朝の散歩を始めて、約70日間毎日稲の成長を観察してきた。僅か70日間での稲の成長は、信じられないほどの逞しさである。まもなく、10アール当たり500キロ〜600キロの稲穂が垂れ下がり実りの秋を迎える。5月上旬に苗が植えられてから僅か100日少々のドラマは、秋風とともに最終章に入る。 ・蝉時雨 水穂の国に 秋が来る 大地に漂う 稲穂の香り
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