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気まぐれ日記 DiaryINDEX|past|will
「おやおや、君たち。廊下は走らない」 「上田先生、それどころじゃない」 さすがの他校生も教師(保健医だが)の登場におじけついた。 「おやおや、君たちはどこの学校の生徒かな。ここは部外者は入っちゃいけないよ」 上田はにこやかだが、どこかするどく他校生たちを見つめた。 「すみません。僕たちは中野春季さんに用事がありまして」 他校生の一人が言った。 「そうかい。でもここは中等部の校舎だから中野春季はいないよ」 「はい?」 「中野春季は大学部だ。どちらにせよ、部外者は入っちゃいけない。さ、早く出て行きなさい」 「……わかりました」 三人は大人しく学校を出て行く。上田はその姿を見てから、冬季と晴仁を見た。 「さて、二人とも。今日は俺が送って行こう。ちょっと待っててね」 晴仁はパソコン教室のカギを戻して、二人で上田を待った。ややして上田が職員室から出てきて、二人を連れて職員玄関から出ることにする。 「君たち、無事でよかったよ」 「あの他校生はなんですか?」 晴仁が尋ねる。 「あの子らは山田工学の生徒だね」 「山田工学……なんでまた」 山田工学は山田工業高等学校の略称。 「どうにも中野春季はどこでも恨みを買っているようだね」 「兄貴が?」 「……中野くんが目当てだったようだよ」 「俺が?」 「末っ子なら、どうにかなるって思ったのかな?」 「いずれにしても、他校生にやすやすと入られるのはまずいね。今校長先生に伝えて来たから、しばらくは君たち、誰かと一緒に帰りなさい」 伝えたいことは分かった。とにかく頭数多くして下校すること。 「わかりました」
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