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気まぐれ日記 DiaryINDEX|past|will
マイナス10以下じゃないことが何よりです。 その朝、それは予定通り村を出た。村長には、あれには薬が効かなかったことを説明した。 「残念だ、ディファン」 その言葉で私は生贄となった。 生贄になるのは明日の夜に決まった。私は家に帰されて見張りがついた。それはもうどこかへ行っただろうか? きっと逃げ出したに違いない。いるかどうかわからない神様など信じることはないだろう。 食欲もなく私はベッドにもぐりこんだ。目覚めたのは次の日の朝だったが、だらだらとベッドから出ずに夕方まで過ごしていた。 起きたら村長に呼ばれた。儀式が始まると告げられた。儀式と言っても箱に入るだけだ。箱に入れば閉じられて、山の頂上に向かうらしい。 暗い箱の中に入り、動くのが分かった。移動しているのだろう。ただ、じっとしていた。じっとしてどのくらいかで降ろされた。足音が去っていく音が聞こえる。やがてしなくなった。と思ったら突然光が入ってきた。きれいな月夜だった。 「やあ、大丈夫? 変なことされなかった?」 それだった。 「大丈夫。本当に来たんだ」 「そうだよ。なかなか村から出てこなかったから生贄の話がなくなったんじゃないかって心配したけど」 足音しなかったのはなぜだろう。そんなことも思いつつ、私はそれに箱から出された。 「寒くない?」 「寒い」 正直に言った。着るものは着て来たが、それでも夜の山は寒い。周りは木々に囲まれているが、箱の前にはぽっかりと洞窟がある。 その中から泣き声が聞こえてきた。
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