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気まぐれ日記 DiaryINDEX|past|will
ありのまま、心向くままに書いているのが、田中学院です。 田中学院 大学部2年 中野春季。 その日、春季は昼休みに野田晴仁が早退したと冬季から聞いた。なんでも風邪らしい。急に体調を崩し、午前中には学校を出たという。その他にも珍しく魔女が体調不良で休みとなった。 「ふうん」 今朝、秀介からは弟が昨日階段から落ちたと聞いた。「足滑らしたって、馬鹿だよなー」とか言っていたが秀介も春季もそんなこと信じてはいない。お互いなんとなく承知していた。 こうも次々周りが、秀介の周りが欠席となるのはやはり『愛でる会』なのだと思う。『愛でる会』がこうも干渉してきたのは2年前くらいからだった。そして、絶対姿を見せない。 そもそも姿を見せない『愛でる会』がなぜ岡崎秀介を狙うのを知っているのか、誰が発端で言い始めたのかも不明だった。そこは野田晴仁が押さえているだろう。しかしメンバーは一人もつかめていない。晴仁も、確証がない限り伝えることはできないと伝えている。 春季は警戒していた。もはや彼を守れる者は自分しかいないだろう、という時点に到達している。この日の下校時刻、玄関先で待っていると、声をかけられた。 「ちょっと春季?」 呼んだのは田中玲子である。この学院の理事長の娘にして大学部2年である。彼女はとても惚れっぽいことで有名で、今のお目当ては年下らしいと噂が広まっている。 「呼んだ?」 「はあ?」 「はあ、じゃない、呼んだ?」 「呼んでない」 「やっぱり。おかしいと思った。秀介もだけどアンタら最近おかしいわよ」 「おかしな連中に付きまとわれているからな」 「おかしな連中って、アレ? なんかキモい集団のこと?」 「なんでお前が知ってんだ?」 「これでも理事長の娘だもの。それにあれなら放っておいてもいいかも」 「なんでだよ?」 「まあ、恋する女の気持ちが理解できないアンタにはわかんないかもね」 じゃあねぇ、と玲子は立ち去った。 しばらくその場に立ち尽くす。しかし待ち合わせている秀介は現れない。玲子を使い、時間稼ぎされたのだと思った。ついに『愛でる会』が動いたのだと思った。急いで外に出て秀介を探したがどこにもいない。日も落ちる頃に体育館裏で一人たたずむ秀介を見つけた。 「秀介!」 「春季……」 「どうしてこんなところに?」 「うん、やっぱりというか騙された」 「騙されたって……」 「よけろっ! 春季!」 何か首筋に刺さった。それから春季の意識が遠のく。秀介が何か言っているが耳に届かなかった。
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